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何年経っても思い出してしまうな ~ WBCが頭に焼き付いて ~ [ヨモヤ]

フジファブリックというロックバンドに
「若者のすべて」
という曲がある。
すごいタイトルだが、若者を描き切る内容ではなく、
夏の終わりの1シーンを切り取ったものである。
しかし、なぜかこの大仰なタイトルに納得してしまう。

曲の中に、
「何年経っても思い出してしまうな」
という歌詞がある。
この曲自体、何年経っても思い出してしまうものだが、
今年のWBCのことも何年経っても思い出すだろう。

ヌートバーの韓国戦でのファインプレー、
指を骨折しても出場し続けた源田、
大谷の自身の看板直撃弾、
苦しみ続けた村上の準決勝と決勝での豪打、
メキシコ戦での吉田の起死回生3ラン、
とにかく塁に出る近藤、
伊藤大海のマウンド度胸、
アメリカ打線に対して臆せず腕を振る今永、高橋、戸郷、
相手にボールを投げさせる中村、
周東の快足などなど。

宇田川、宮城、山崎といったオリックス投手陣がアメリカ打線に立ち向かうところを見たかったり、
山川の打席をもっと見たかったり、
欲張ればまだまだあるのだが、さすがにそれは望み過ぎだろう。

最後の最後で大谷とトラウトの対決が見られたのはあまりにも出来過ぎ。
野球ファンへのご褒美という感じだろうか。
甲子園での斉藤対田中といい、野球の神様はわかりやすい演出をしてくださる。

チェコチームの好感度にあふれるプレーが話題になったり、
日本チームのマナーが称賛されたり、
勝ち負け以外のことに注目が集まったのも気持ちがよかった。
今回のWBCは、
こんな大会になったらいいな、
という望みをはるかに超えた大成功を収めた。

WBCロスになりそうだが、
甲子園ではセンバツがたけなわであり、
すぐにプロ野球が開幕し、
メジャーも始まる。
この星には野球がある。

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映画評 「Winny」 [映画評]

2000年代の初頭、
「Winny」というソフトが大きな話題となったことがあった。
ネットを通じて映画や音楽を自分のパソコンに取り込めるというもので、
YouTubeもネットフリックスもない時代、
これを活用した人も少なくないだろう。

Winnyには負の要素もあった。
違法アップロードが社会問題化し、
著作権侵害という指摘も絶えなかった。
ただし、そうした問題のある使い方がされているからといって、
ソフトの開発者が責められるのもどこか違う。
うまく育てていれば大きなビジネスの種になっていた可能性も小さくない。

本作は、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者である金子勇さんの実話を基に描いている。
残念ながら金子さんはすでに亡くなってしまっているのだが、
映画のエンディングでは生前の金子さんの姿も映される。

映画は裁判の様子を中心に、
専門バカ的な天然キャラの金子さんと、
金子さんを何とか守ろうとする弁護団の奮闘が描かれる。
比較的地味な作品であると思うが、終始面白く観ることができた。
突っ込み不足と思える点や、
回収され切っていない要素もあったが、
しっかり楽しめた。

主演は東出昌大さん。
いまだに風当たりの強い東出さんだが、コツコツといい映画に出続けられている。
今年に入ってから公開された「とべない風船」も佳作だった。
三浦貴大さん、皆川猿時さん、和田正人さん、吹越満さんという面々で構成された弁護団がいい。
特に吹越さんはさすが。

脚本、監督を務められたのは、「ぜんぶ、ボクのせい」などの松本優作さん。
面白く、興味深い映画を撮られた。

映画のホームページに、松本監督の本作への思いが掲載されている。
映画を作った意味のようなものが伝わる文章なので、少し長いが引用させていただきたい。
思いのこもった映画が観られるのは嬉しい。

『もし金子さんが逮捕されなかったら、もしまだ生きていたら、今の日本は大きく変わっていたかもしれません。悔しいのは、彼のような天才が、裁判の7年によって、文字通りその未来を奪われてしまったことです。映画という文化は、ある時代の中で、埋もれてしまった場所に光を当てることだと思います。未だ世間にさらされていない金子勇という天才技術者と、彼を支え、共に戦った壇さん始め弁護団の皆様が生きた時間に、私は光を当てたい。この映画が、わたしたち人間が、より自由に、平等に生きてゆくための試金石となることを願って。』

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