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映画評 「君は永遠にそいつらより若い」 [映画評]

芥川賞作家・津村記久子さんのデビュー作を映画化したもの。
津村さんの作品では、最近『ミュージック・ブレス・ユー!!』という本にぶっ飛ばされたので、
楽しみに観に行った。

ちゃんと作られた映画で、
若手俳優の皆さんの演技も好ましく観たのだが、
個人的に残念だったのが最初のシーン。
なんらかの悲劇が起きたことを伝えるのだが、
無い方がよかったように思う。
多くの映画で冒頭にそれだけでは意味不明のシーンを挿入し、
それを途中で回収するということをやるのだが、
うまくいっているケースはあまりないように感じる。
あまりにも手垢のついた手法なので新鮮さもない。
普通に頭からストーリーを伝える方が、
王道だし、伝わりやすい。

映画は、平和な大学生活とそのすぐそばにある悲劇を描く。
若者らしい、自信のなさがリアリティを持って迫ってくる。
展開が突飛だったり、伝え方が十分でなかったりするところもあるが、
全体とすると好感が持てる仕上がりだった。
うなるまでには行かないが。
感動までには達しないが。

主演に、佐久間由衣さん。
セリフに癖のある役をしっかり演じられた。
この映画における貢献ポイントは非常に高い。
共演に、奈緒さん。
直近で観た「先生、私の隣に座っていただけませんか?」では、はっちゃけた編集者を演じていたが、
今作では陰のある女子大生。
なかなかの振り幅である。

「君は永遠にそいつらより若い」は、原作の力もあるのだろうが、なかなか味のある映画。
印象的なシーンもいくつかある。
もうワンパンチ、ツーパンチあればより印象的な作品になっただろうけれど。

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