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映画評 「先生、私の隣に座っていただけませんか?」 [映画評]

TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018 で準グランプリを獲得した作品。
監督の堀江貴大さんは33歳と、映画監督としては若手の部類だろうか。

公開されているあらすじをまとめるとこんな感じ。
不倫を題材にした作品を描き始めた漫画家と、
その内容から自身の不倫が知られたのではないかと不安に陥るその夫の姿を描く。
夫も漫画家であるが、今は書けなくなっており、妻のアシスタントをしている。
漫画のストーリーが、妻をモデルにしたらしき女性と自動車教習所の先生が恋に落ちる展開を迎え、現実との境がわからなくなった夫は・・・

凝った展開、
最後のどんでん返しに才気を感じる。
感じるのだが、映画にのめり込めない。
凝った筋を見せるのに付き合わされている感じがするからだろうか。

なにより残念なのが、登場人物に心を動かす魅力がないこと。
観客をミスリードするためだけに行動しているようにさえ見えて、
ワクワクするというより、もやもやする。
二転三転する展開で、それはそれで楽しいのだが、
それだけ。

伏線を回収してのどんでん返しは、作り手としては快感なのだと思う。
「どうだ!」という感じだろうか?
しかし、
いくら筋が凝っていても、
どんなにラストで驚かされたとしても、
物語や人物に魅力が感じられなければ、映画として成功しているとは言い難い。
全く平板な話だけれど、登場人物に魅せられた、という方がずっと心に残る。

夫婦役に黒木華さんと柄本佑さん。
芸達者のお二人で、演技は相変わらず素晴らしい。
ただ、このお二人が組むのなら、もう少しほかの展開の方が楽しめたかな、という気はする。

「先生、私の隣に座っていただけませんか?」は、どんでん返しが楽しい作品。
しかし、登場人物に思い入れが持てないので、スカッとしなければ、もやもやもしない。
映画って難しい。

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