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映画評 「鳩の撃退法」 [映画評]

直木賞作家・佐藤正午さんのベストセラー小説の映画化。
埼玉西武ライオンズが本作とコラボしており、
辻監督のアップの写真に「鷲の撃退法」というキャッチが付いたポスターが西武戦各駅に貼られている。

映画は、やたらとややこしい感じで進む。
直木賞受賞経験のある作家が担当編集者に執筆途中の新作小説を読ませるのだが、
この作家が以前、事実を交えて小説を書いてもめ事を起こしたことがあるため、
編集者は疑心暗鬼となる。
小説に書かれている、偽札や一家失踪、裏社会のドンといった話が現実だとややこしいことになると、
心配した編集者が現地に向かったところ、案の定・・・。

設定もさることながら、
ストーリーもいろいろ入り組んでいてややこしい。
しかも全く説明不足で進んでいくため、
理解するのに追われ、
感情移入に至らない。

最後に、いろいろな伏線はある程度回収されていくのだが、
人物が描けていないので、単に答え合わせを見せられている感じ。
人の魅力がしっかり伝わっていれば、ちょっとくらい辻褄が合わなくても胸に来るのだが、
本作の場合は、話を進める方に専念した体である。

映画の中で、主人公が小説作法として「書き過ぎないこと」が大事だと持論を展開する。
まあ、それも確かだが、情報がなさ過ぎるのもダメ。

と、マイナス面を連ねてしまったが、
とことんつまらない映画だったかというと、そういうわけでもない。
主演の藤原竜也さんの演技はいつもどおり見せるし、
風間俊介さんもいい味を出している。
土屋太鳳さんはバタバタしておられるが、今作ではそういう役回り。
あっちゃこっちゃ話が飛び回るが、
あまり真面目に理解をしようとせず、
流れに身をまかせれば、そこそこ楽しめる。
そこそこ。

「鳩の撃退法」は、凝った構成の映画。
わけがわからないと嘆かず、
細かいことにこだわらず、
スルッと観ればそれなりに楽しめる。
それなりに。

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