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「税と公助」という本を読んで改めてマスコミの役割を考える [ヨモヤ]

本屋さんで「税と公助」と題した本が目に留まった。
パラパラ眺めると興味深い内容であるように思えたので、
朝日新聞の記者さんが書かれたというところに一抹の不安を覚えつつも買ってみた。

「はじめに」の部分に、
「日本人は、『税金とは何か』ということについてよく知らない」
というようなことが書かれてあった。
同じ質問をスウェーデンですると、スラスラ答えが返ってくるのだという。
そして本書は、
「『この先もきちんと続く』未来をつくるために」書いたのだという。

これを読んで、
確かに税金とは何かを一人一人が知り、
納得して納めることは大切だな、と思った。
本の中には、
わかりやすく税金について書いてあるのだろう、
あるべき税金の姿も提示されるのかしら、
とちょっとだけ期待した。

しかし、内容は、まあ。
よくある政権への皮肉のこもった批判集。
増税もダメ、
赤字が膨らむのもダメ、
物価上昇率が目標に達しないのもダメ、
インフレリスクを高めるのもダメ。
ただし、腰の据わった対案は特に示されない。

正直なところ、この手の論調には思い切り慣れているので、
ガッカリもしないし、今さらなんとも思わない。
思わないのだが、
「はじめに」のところで、
日本人にもっと税金について関心を持ってもらいたい、と書いてあり、
そのために新聞記者さんとしての役割を果たそうとされているのかと期待してしまったので、
ちょっと当てが外れた感じはある。

税金のこと、財政のこと、この国の将来のことなど、
自分の言葉でしっかり伝えるのは主には政治家の役目なのだろう。
しかし、それが果たされておらず、
それが果たされていないことが残念だと思うのなら、
マスコミがそれを補完してもバチは当たらないのではないだろうか。

本書のタイトルは、「税と公助」である。
菅総理が、
「国の基本というのは、自助、共助、公助であると思っております」
とおっしゃっていたことを踏まえてのものである。
このタイトルと内容から、
自助を強調するより、
公助を大切にするべきであり、
そのために税は使われるべき、という思いがあるのだろう。
であれば、税金とはどうあるべき、
公助とはどうあるべき、
ということを、自分の言葉で示してほしかった。
現状への皮肉な見方ばかりではなく。

マスコミにそんなことを期待しても仕方がない、
とあきらめておられる方がほとんどだろう。
しかし、そうやってあきらめてしまうのも残念である。
ガッカリすることはあっても、これからも期待し続けようと思っている。

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