SSブログ

ノーベル賞を獲ろうが獲るまいが村上さんは村上さん [ヨモヤ]

旭化成の吉野彰・名誉フェローが、2019年のノーベル化学賞を受賞された。
「リチウムイオン電池の開発」が授賞理由。
吉野さんは事前の予想でも、可能性が高いと言われていた。
日本のノーベル賞受賞は、米国籍の2人を含めて27人目となる。
ノーベル賞がすべてではないが、何はともあれ目出度い。

さて、毎年この時期になると取りざたされるのが、
村上春樹さんのノーベル文学賞の受賞である。
毎年のように、候補の筆頭に上がっていると言われて、
もう何年も肩すかしを食らってきた。
去年発表がなかった文学賞は、2年分まとめて発表されるという。
チャンスは2倍ということになるだろうか。

今、40代以上の日本人は、村上春樹さんからかなりの影響を受けてきたと思う。
私も、大ファンというわけではないが、
デビュー作の「風の歌を聴け」でその存在を知り、
「1973年のピンボール」を面白く読み、
「羊をめぐる冒険」で首を傾げ、
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で熱狂した。
「ノルウェイの森」は大きな社会現象となり、村上さんの存在は前にもまして大きくなった。
そこから、「ダンス・ダンス・ダンス」「国境の南、太陽の西」「ねじまき鳥クロニクル」までで、
一区切りついた感じがする。

村上さんは、小説もさることながら、エッセーにも冴えを見せる。
なんでもないことを、何でもなく書いているのだが、知らぬ間に引き込まれる。
まさに名手である。

当たり前だが、村上さんはノーベル賞を獲ろうが獲るまいが村上さんである。
だから、獲っても獲らなくてもどちらでもいい。
獲れば、村上さんの文章を世界が理解した、と喜ぶだろうし、
獲れなければ、村上さんの作品は、母国語じゃないと本当には理解できないよ、
と思うだろう。
ただ、それだけだ。

だとすれば、楽しみをつなげるために、今年のノーベル賞は獲れなくてもいい。
今年獲れなければ来年に、
来年獲れなければ再来年にと、どんどんつながっていく。
楽しみが先にあるというのはいいことだ。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事