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映画評 「真実」 [映画評]

是枝裕和監督が、初の国際共同製作映画として、
フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎えて撮った映画。
ドヌーヴの娘役に「ショコラ」「イングリッシュ・ペイシェント」などのジュリエット・ビノシュ、
ビノシュの旦那役に、アメリカ人俳優のイーサン・ホーク。
さすが、海外で高い評価を受けている是枝監督だけに、豪華なメンバーが揃った。

ドヌーヴが自身を彷彿とさせる大女優役を演じ、
周りが彼女に振り回される。
タイトルになっている「真実」という言葉は、その大女優が書いた自伝本で、
関わった人たちはみな、自分がどう書かれているかが気になっている。
しかし、内容は「真実」とはほど遠いようだ。

映画の中で、映画の撮影をしていて、
その映画はへんてこりんなSF作品。
そこがなんだかおかしい。
例によって脚本も担当している是枝監督の才気が凛々と伝わる。

家族のつながりがテーマだが、
そこにすべてを超越した存在である「女優」が加わり、
コミカルに映画は進む。
手に汗握るシーンも、
泣かせどころもないのだが、
なにやら愉快である。

「三度目の殺人」や「万引き家族」のような重厚な感じはないが、
この作品はこの作品で楽しかった。
ドヌーヴの使い方にご立腹なオールドファンもおられるようだが、
女優の中の女優が女優を演じられるというのも、
ベタではあるが洒落ている。

「真実」は、肩の力を抜いて楽しめる作品。
大人の人向けではあるが、
若い人たちもちょっと背伸びしてご覧いただきたい。
「なんだか、いいな」
と思えるのではないだろうか。

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