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映画評 「ある船頭の話」 [映画評]

俳優オダギリジョーさんの監督作。
長編映画では初監督となる今作は、長年温めていたオリジナル脚本であるらしい。
オダギリさんは、役者としてもなんだか気になる存在であり、監督作も観てみたかった。
なかなか評判もいいようだ。

主演は柄本明さん。
私が観た映画館では、「火口のふたり」という作品も上映されていて、
こちらの主演は長男の柄本佑さん。
父は老境の作品を、
長男はエロ全開の作品を、
同じ映画館で同時期に公開中という痛快な親子である。

タイトルどおり、主役は柄本さんが演じる船頭。
長年の懸案であったらしい橋の建設が進むある山村で、
船頭は黙々と川を渡し続ける。
実直な人間、偉そうな人間、事情を抱えた人間、
などなどが船頭の船で川を渡り、船頭は聞き役に回る。
「橋ができたら仕事がなくなるだろう」
と心配されても
「いや、皆が待っていますので」
と船頭は優等生的に答える。

職人らしく、
黙々と、ひたすら仕事をこなす。
しかし、船頭も人間である。
内面に黒い面も持ち合わせている。

表と裏、
正と邪、
善と悪。
これらは意外と短い距離で入れ替わる。
ちょっとしたきっかけで、同じ人間で別の面が噴出することがある。

映画の狙いは、概ねうまく行っていると思うが、
船頭の内面であるという存在がペラペラしゃべるのはちょっと興醒めだった。
しゃべらせないと観るものには伝わらないと思ったのだろうが、
しゃべらせて伝えるしかないのならそれは伝わったことにはならない。

ラストもどうか。
大きな波乱があるのだが、
波乱がない方が沁みただろう。

出演は、柄本さんのほか、村上虹郎さんや川島鈴遥さん。
村上さんは印象的な演技をされる俳優さんで、本作でもその持ち味を発揮されていた。
川島さんは、大切な、そして難しい役どころを精一杯演じられていた。
目力の強さを、しっかり映されていた。

「ある船頭の話」は、人の内面に切り込む作品。
映像は美しく、丁寧な演出とも相まって、
初監督作であるオダギリさんの力が発揮されている。
が、一刻も早く次回作が観たいとまでは・・・。

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既婚女性への調査では別姓容認派より同性婚容認派の方がずっと多いらしい [ヨモヤ]

国立社会保障・人口問題研究所が「全国家庭動向調査」を公表した。
この調査は5年ごとに行われているもので、調査対象は女性に限定されている。
さらに今回公表された調査結果は、配偶者のいる女性6,142人の回答をまとめたもの。
だから、いわゆる世論調査などとはサンプルの考え方が全く違うことには注意しておきたい。

調査結果で注目されていたのは、
夫婦別姓と同性婚に関する意識。

まず、夫婦は別姓でもよいと考える既婚女性は50.5%だったという。
前回調査から9ポイント上昇し、1993年の調査開始以来、初めて5割を超えたのだそうだ。
現状、夫婦で同じ姓を名乗っている人が多数だと思うが、
そうした方々を対象とした調査でも5割以上が別姓を容認していることになる。
男性に聞くと、違った結果になるのかもしれないが。

一方、同性婚を法律で認めるべきだと考える既婚女性は69.5%だったという。
こちらは初めて設問に加わったらしい。
同性カップルが子供を持つことに関する質問でも、
「男女のカップルと同じように子供を育てる能力がある」の賛成が69.4%、
「養親や里親になってもよい」が66.7%と肯定的な考え方が多かったという。

つまり、夫婦別姓を容認する人より、同性婚を容認する意見の方が圧倒的に多かったのである。
同性婚については、男性より女性の方が肯定的にとらえる人が多いと言うが、
それにしても既婚者だけを対象にした調査で7割が賛成というのは、かなり割合だと思う。

社会環境や人々の意識の変化に伴って、制度も変えていく必要がある。
夫婦の問題もまたしかりだろう。
もちろん、拙速に過ぎてはいけないが、慎重に過ぎるのもまたよくない。

同性婚については、
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
という、憲法第24条の規定が壁になっている面がある。
人によっては、「いや別にこの規定では同性婚を妨げてはいない」という人もいるのだが、
それは素直に読めばかなり苦しい解釈である。
同性婚を認めようという人たちの運動が、
憲法を一部改正しようという運動にならないのが、個人的には不思議である。

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正直、期待外れだった大谷の2年目 ~ 来年、二刀流の真価が問われる ~ [ヨモヤ]

大谷の二年目を振り返ると、
「歯がゆい一年だった」
と言えるだろうか。
メジャーでレギュラーとして試合に出て、
それも上位を打って、
打率も.280を超えていれば、
まずは立派な成績と言えなくもない。
しかし、大谷に対する期待値からすれば、物足りない感は否めない。

1年目は、打率.285、ホームラン22本、打点61
2年目は、打率.286、ホームラン18本、打点62。
打率はほぼ横ばいだが、ホームランは減り、打点も打席数が増えた割には伸び悩んだ。
しかも、1年目は途中まで二刀流だったことを考えると、2年目の成績は下がったと言わざるを得ない。

もちろん、肘の手術の関係でキャンプがキチンとできず、
開幕から大きく出遅れたという大変なハンデを背負っていたし、
終盤は膝の痛みとも戦っていたという。
しかし、それらが言い訳にならないことは、大谷自身百も承知だろう。
また、毎年のように怪我をしてしまうのは、残念でならない。

ただし、もうこれは済んだこと。
来シーズンこそ二刀流の真価が試される。
周りの見る目も変わってくる。
二刀流にしてはすごい、という目ではなく、
一主戦投手としてどうか、
一中心打者としてどうか、
という見方になる。
メジャーとしてそのレベルに達していなければ、二刀流を続ける意味が問われる。

まずは、無事に一年間を過ごすこと。
それが日本でもほとんどできていない。
それではとても一流選手とは言えない。
ファンとしても、是非一年を通して楽しませてもらいたい。

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映画評 「3人の信長」 [映画評]

一般的な注目はそれほどでもなかったが、この「3人の信長」という映画を楽しみにしていた。
というのも、監督の渡辺啓さんという人に興味が湧いたからである。
正直なところ、この映画の前までは、全く意識していなかったのだが、
元お笑いコンビ「グレートチキンパワーズ」のボケ担当で、
のち脚本家に転身し(『HiGH&LOW』シリーズなどを手掛けているらしい)、
今作は自らの企画を実現させたとなれば、
どんなものなのか観てみたくなろうというもの。

ストーリーは、信長をとらえたつもりが、それが1人ではなく3人になり、
3人とも自分が本物だと言い出しててんやわんや、というもの。
誰が本物なのかは、割と序盤で大きなヒントが出されるので多くの人にはわかる。
今作は、誰が信長なのかを当てる楽しみではなく、
舞台劇のようなやり取りと、
目まぐるしく変わる展開と、
信長という人物を通じて浮き上がって切る「生きる意味」といったことを味わう作品である。
そして、監督の狙いはおおむね成功したと言っていいのではないだろうか。

観終わった後、爽やかな気持ちになれる映画であり、
サービス精神にあふれているため、
最初から最後まで楽しく観ることができる。
不朽の傑作とは全く思わないし、
年間ベスト級の作品とも感じないが、
観てよかったと思える作品だった。

3人の信長を、
TAKAHIROさん、
市原隼人さん、
岡田義徳さんが演じる。
3人とも好演されていた。
高嶋政宏さんは、このところ定番の悪役をコミカルに演じられた。

「3人の信長」は、アイデアが詰まった快作。
映画で何かを伝えよう、映画でみんなを喜ばせよう、
映画で世界をひっくり返そう、
といった野心がほの見えるところが心地よい。
渡辺啓さんには、これからも映画を撮り続けてもらいたい。

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映画評 「アド・アストラ」 [映画評]

宇宙の彼方に生きているかもしれない父を、
もうすっかり成人している子供が探しに行く話。
父をトミー・リー・ジョーンズが、
子をブラッド・ピットが、それぞれ演じる。

宇宙を舞台にした映画の特徴の一つは、画面が暗いことである。
宇宙空間なのだから当然だが。
これで映画が面白ければなんの問題もないのだが、
そうでもない場合、睡魔くんのお出ましとなる。
この映画の最中、私は何度も睡魔くんと闘うためになってしまった。
一度追い払ったつもりが、しばらくするとまたやってくる。

映像は、ハリウッドらしくしっかりしている。
よくこんな絵が撮れるなあというシーンの連続である。
しかし、ストーリーの方がさっぱり。
登場人物それぞれが、一体何をしたいのかがわからない。
一人残らずわからない、という感じなので、
そりゃまあ、眠くもなる。
オチもかなり陳腐である。

なんでこんな映画になってしまったのか。
トミー・リー・ジョーンズやブラピクラスともなれば、仕事は選べるだろうに。
仕事を受ける前に、映画の内容もしっかり把握できるだろうに。
作られる前は、いいものが出来上がるように見えたのかしら。
このあたり、人類の謎である。

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エースと打点王と生え抜き捕手を抜かれて優勝 逆境になるほど強いのが西武の伝統 [ヨモヤ]

去年の西武と今年の西武。
メンバーの差し引きでは、どうみても戦力ダウンしている。
なにしろ、
唯一の頼りになる投手であったエースの菊池がメジャーに行き、
セカンドで打点王の浅村が楽天に移籍し、
正捕手ではないにしろ生え抜き捕手の炭谷が巨人に移籍してしまったのだから。
これは、どう考えても苦しい。

しかし、そんな時に勝てるのが西武の伝統でもある。
これまでも、
清原が抜け、
秋山が抜け、
松井が抜け、
工藤が抜け、
岸が抜け、
といろいろありながら、それなりに勝ってきたのだ。

打線は浅村の穴を全く感じさせなかったし、
投手陣は去年もメタメタだったからあまり変わりはしない。
むしろ、救援陣がしっかりした分、今年の方が戦い方に安定感が増した感もあった。

さて、クライマックス・シリーズである。
1位通過のチームは圧倒的に有利だが、去年現実にソフトバンクに負けている。
ソフトバンクは、短期決戦での勝ち方を知り尽くしているから、もしファイナルステージに上がってきた場合、
今年も大変な戦いになるだろう。
しかし、ふわふわと勝ってしまった去年より、今年の西武の方が強いことは間違いない。

このオフには、チームリーダーとも言うべき存在の秋山翔吾がメジャー移籍を決めるかもしれない。
おそらく秋山の穴は、浅村以上に大きいだろう。
それでも、西武ならすぐに埋めてしまうのではないか、という期待感がある。
主力がいなくなれば、チャンス到来とばかりに代わりの選手が穴を埋める。
それで西武の伝統だから。

まあ、もちろん、抜けない方がいいのだろうけど。

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映画評 「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~」 [映画評]

King & Princeの平野紫耀くんと、「千年に一人の逸材」橋本環奈ちゃんが共演した青春映画。
超名門校の生徒会長と副会長が、互いにひかれあっているのにそれを言い出せず、
しまいには「告白したら負け」とこじらせてのドタバタを描く。
50過ぎたおっさんが一人で観に行く映画ではないとは思うが、
まあ、なんとなく。
特別、環奈ちゃんのファンというわけではない。

もちろんコメディである。
ドタバタしているばかりで笑えないシーンも少なくないが、
コメディである。
つまらない、面白くない、
と斬り捨てる方も多々おられると思うが、私はそれなりに楽しかった。

相手に告白させようとするが故のあれこれから、
定番の花火大会エピソード、
終盤の生徒会長選挙まで、
思ったよりいろいろな展開があって飽きなかった(それでも、ちょっと長くは感じたが)。
最初から肩の力をダルンダルンに抜いていれば、これはこれでありかと思えた。

平野くんはともかく、
幼児体形の環奈ちゃんが役にはまるのかちょっと心配だったが、
環奈ちゃん流のヒロイン像になっていた。
生徒会メンバーに、佐野優斗くんと浅川梨奈さん。
佐野くんは、私の愛する「ちはやふる」組の一員。
本作では、わけのわからない役を振られ、奮闘していた。
浅川さんは、私にとっては麻雀映画「咲-Saki-」での演技が印象深い。
浅川さんも素っ頓狂な役を振られたが、懸命に頑張っておられた。

監督は、「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」が印象的な河合勇人さん。
こういう映画がお得意なのだろう。

「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~」は、多くの人が想像するような青春コメディ。
わかりやすい展開、わかりやすい演出、わかりやすい演技。
これはこれでありで、
平野くんのファン、環奈ちゃんのファンは、まずは満足できるのではないだろうか。
原作ファンの賛否はあるだろうが、まあ、目くじら立てるほどのこともない。
佐藤二朗さんが鼻につくという人もおられるようだが、私は楽しかった。

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映画評 「人間失格 太宰治と3人の女たち」 [映画評]

蜷川実花さんについては、なんとなく遠巻きに見ていたのだが、
前作「Diner ダイナー」で目を覚まされた。
色彩や映像への評価が高いが、ストーリーテラーとしてもイケている。

「人間失格 太宰治と3人の女たち」はそんな蜷川さんの最新作。
太宰治を小栗旬さんが演じ、
3人の女を宮沢りえさん、沢尻エリカさん、二階堂ふみさんが演じる。
脇を固めるメンバーも、藤原竜也さん、高良健吾さん、成田凌さん、千葉雄大さん、瀬戸康史さんという豪華版である。

太宰さんと言えば、無頼な私生活でも知られる。
薬物中毒であり、
自殺癖でも有名である。
そして、数々の女性遍歴を活かして、
優れた作品を残された。
私も太宰さんのファンであり、学生時代にほぼすべての著作を読んだ。

本作の主役はもちろん太宰さんだが、主役以上に注目されたのが3人の女性。
まずは正妻役の宮沢りえさん。
今まであまり美しさを感じたことがなかったのだが、本作ではそれが見えた。
二階堂ふみさんの役者っぷりにはもともと感銘を受けていた。
そして、沢尻さんがお綺麗なのには驚いた。
役にもぴったりはまっていた。
つまり、3人が3人とも、しっかり役割を果たしていた。
これは、もちろん役者の力量であろうが、監督の力も大きい。

小栗さんは、破滅の道を歩む太宰を熱演されていたが、
ちょっとステレオタイプの太宰像にはまり過ぎている感があった。
その意味では、期待に応えてはいるわけだが、裏切る要素も欲しかった。
もちろん、そういう演出だったのだろうが。

「人間失格 太宰治と3人の女たち」は、なかなか楽しませてくれる娯楽作。
女優陣の演技合戦に魅せられる。
太宰ファンならなおさら楽しめるが、
太宰のことを知らなくても、十分興味深く観られると思う。
文芸作、というのとは少し違うが、監督の作家性も見えて、芸術の秋にふさわしい作品となっている。

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今年もモヤモヤ キングオブコント [ヨモヤ]

お笑いのコンテスト番組が好きだ。
中でも、この「キングオブコント」と「M-1」は毎年欠かさず見る。
特にM-1は、自分にとって一年の区切りのようなビッグイベントとなっている。

優勝者がほとんど生き残っていくM-1と比べ、キングオブコントの優勝者はなんとも微妙である。
第1回の優勝がバッファロー吾郎だったのが何かを暗示していたかのように、
かもめんたる、ライスといった面々を見かけることはほとんどない。
番組自体も、微妙であることが多い。

決勝戦進出者の10組が当日までわからない、
というシステムがまず意味不明だし、
実際にはネットで流出してしまっているお粗末さ。
審査も、5人だけでやるからどうしても偏りが出てしまう。
偏って結構、と割り切っているのだろうが、その割り切りがいい方向に出ているとは思えない。
今年も、残念ながらモヤモヤした大会になってしまった。

優勝はどぶろっく。
もともと嫌いではないコンビであり、1本目はそれなりに笑った。
しかし、2本連続で同じネタではどうしようもない。
下ネタだからどうこうというより、2本揃えるのがこうした大会の難しさであり、
それを放棄してしまっている人たちが優勝するのは、見たくない光景だった。
審査員の方々は、2本目には勇気を持って、50点や0点といった点数を入れてほしかった。
それなら、笑いにもなった。
残念。

準優勝は、うるとらブギーズ。
1本目が秀逸だった。
とはいえ、どかんとした笑いがあったわけではない。
うまいなあ、とは思ったが。
2本目も「達者だなあ」とは思ったが、こちらも爆笑には届かなった。

3位はジャルジャル。
私はジャルジャルのファンであり、ほとんど敬意に近い感情を持って彼らを見ている。
その目線からすると、今日の2本は合格点では全くない。
なんでも、福徳さんが足の指を骨折していたそうなのだが、それはそれとして。

4位以降は粒ぞろい。
突き抜けた組がなかった代わり、みなそれなりに面白かった。
その意味では、番組全体としては一定のレベルで楽しめたと言える。
ビスケットブラザーズのネタはファイナルステージで披露されていたら跳ねていたかもしれないし、
ジャルジャルと同点だったGAGのネタも楽しかった。

なかなか笑いの神様は下りてきてくれない。
今年のキングオブコントも、ハッピーエンドにはほど遠かった。

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何度でも書くが、高校野球の球数制限に反対である [ヨモヤ]

このブログで再三取り上げたことであり、
私などが声を上げてもどうにもならないことはわかりつつ、
やはり書いておこうと思う。
私は高校野球の球数制限に反対である。
日本高校野球連盟が設けた「投手の障害予防に関する有識者会議」の第3回会合が開かれ、
具体的な投球数制限の内容について、7日間で500球以内の制限をかける方向で議論がまとまったという。
この機会に、何度目になるかわからないがこの件についての意見を書く。

そもそも、当事者、つまり高校生たちが望んでもいないことをなぜわざわざするのだろう。
なぜ望んでいないとわかるかというと、以前にも参考にしたが、各種アンケートが行われているからである。
例えば、
「今年の選抜出場32校に、東京新聞が聞いたところ、『制限を設けるべきだ』と答えたのは一校にとどまった」
「山形県高校野球連盟が行った球数制限に関するアンケート結果では、賛成は1割にとどまった」
「高校野球の投手の球数制限について、福岡県高校野球連盟が今春に実施したアンケートで、野球部員の87%が『反対』と回答した」
といった具合である。
9割方の高校球児が反対しているということはまず覚えておきたい。
高校生たちが悲鳴を上げている、というのなら考えるべきだろうが、大多数の選手が球数制限など求めていないのが現状である。
だって、そりゃそうだ。
そんなので負けたら悔いが残る。

一体、球数制限で誰を守ろうとしているのだろう。
甲子園に行きたい一心で、仲間と汗を流している選手たちにとって、
球数制限など余計なことでしかないのに。
健康第一、というが、怪我をしたくないのなら、図書館で本を読むという手もある。
将来が大切、というが、甲子園より大切な将来がどこにあるのだろう。

球数制限が導入されたら、一層公立校・無名校が不利になるのも自明である。
いつも同じ学校が代表になる甲子園。
それで、誰が喜ぶのだろう。
それで、すそ野が広がるだろうか。
それで、子供たちが夢を見られるだろうか。

はっきりさせておきたいのは、
「球数制限をしたがっているのは大人だ」
ということである。
「大人が、大人の事情で、大人の都合でやりたがっている」
ということである。
なんのために?
さあ、責任を取りたくないからだろうか。

私は、投球制限に反対である。

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