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映画評 「いなくなれ、群青」 [映画評]

本作は、河野裕の同名小説の映画化。
ちなみに「群青」とは、鮮やかな藍青色である。
映画の終盤、タイトルの意味が分かり、
「いなくなれ」
という語調と、本当の思いとのギャップに心動かされる。

あまりヒットしていないようだが、なかなかの映画だった。
ラノベっぽい世界観で物語は進み、
登場人物の行動も一つ一つ現実離れしているのだが、
突拍子もない設定であるこの映画においては、そのことが興覚めにはつながらない。
出演者が綺麗すぎるのだが、それもこの映画の中では許される。
爽やかで、少し苦い青春映画に仕上がった。

ただし、この映画の評価を難しくしているのは、主演二人の演技だと思う。
横浜流星さんと飯豊まりえさんの共演なのだが、お二人とも演技が微妙である。
率直に言うと、あまりよろしくない。
説明文的な言葉が多いので仕方がない面もあるが、
特に長めのセリフのとき、しっくりこない感じが募る。
青春映画であり、青春時代は流ちょうにしゃべるものでもないが、
それにしても。
神木隆之介くんと二階堂ふみさん、
とかいった顔合わせだったらどうだっただろう。
映画を観ながら、別の俳優さんだったらどうだろう、と思うことはあまりないので、
その意味ではお二人の起用はあまり成功したとは言えなさそうだ。
クライマックスにも、もう一工夫あれば、
遅れてきた2019年夏の快作、
となったのだが。

「いなくなれ、群青」は、夏に観るにふさわしい青春映画。
うじうじめそめそするのも青春、
突っ走るのも青春である。
もうワンパンチ欲しかったが、楽しめる作品になっている。

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