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映画評 「火口のふたり」 [映画評]

映画ファンとしては、
作り手には作りたいものを作ってもらいたい。
作りたいものがない作り手は、とんでもない才能がある人以外、
なるべくなら映画に関わらないでもらいたい。

「火口のふたり」からは、
監督の作りたいものを作る、という気持ちが伝わってくる。
そして、俳優がそこ監督の意気に真っ向から応えている。
映画の内容に賛否はあるだろうが、まずはその気持ちが嬉しい。

「火口のふたり」の登場人物は、ほぼ二人だけ。
主要登場人物が二人、という作品はたまにあるが、
ここまで二人だけしか出てこない映画は珍しい。
監督の言葉によれば、
「予算がなかったから」
ということだが、いい効果を上げていたと思う。
設定や途中の流れがちょっと浮世離れしているのだが、
二人しか出てこないから、言い訳する必要がなくなった。

本作は、R18+指定。
理由は、エロいから。
ほぼ全編男と女が絡み合う。
登場人物が二人だから、ずっと二人が絡み合っている。
男を演じる柄本佑さんは、ますます凄みを増している。
とぼけた役も狂気も小心も、きっちり演じられる。
そして、この映画は女を演じる瀧内公美さんの映画である。
この日のために磨き上げた見事な身体をスクリーン一杯に表現されている。
理屈も何もいらない。

ツッコミどころはたんまりある映画で、
最後の方は蛇足に感じた。
しかし、この作品に細かいことを言うのは野暮。
監督のツッパリと、
柄本さんの俳優魂と、
瀧内さんの情念を見れば十分である。
点数を付けたらそんな高くはないけれど。

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