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映画評 「引っ越し大名」 [映画評]

この映画のあらすじを聞いて、『超高速!参勤交代』を思い出した人も少なくないと思う。
なんでも、原作・脚本が同じ人だという。
それならよかった。
そうでなかったら、パクリというか、アイデア借用というか。

本作はコメディ映画である。
特別笑えるシーンはないし、
クスリともさせてもらえなかったけれど、
コメディであることにかわりはない。
コメディだから設定が少々甘くてもいい、
と私は全く思わないが、本作の制作側は思うようだ。
少し前に観た「おっさんずラブ」もそうだったが、人物描写を含め、とにかく雑である。
どうせコメディなんだから、細かいこと言わないでよ、
とでもお考えなのだろうか。
そういう人にコメディ作品を作ってもらいたくないのだが。

主演は、星野源さん。
書物に引きこもりがちだった星野さん演じる主人公が、引っ越しを取り仕切ることを言い渡されてからの大騒動を描いているのだが、
星野さんのバックボーンがからきし描かれていないので、
こちらの気持ちが入っていかない。
共演の高畑充希さん演じるヒロイン役の立ち位置も不明。
高橋一生さんが、星野さんの親友役で出演されているのだが、
普段と全く違うタイプの役が、全くはまっていない。
意外性はあるが、それだけ。

「引っ越し大名」は、この頃よく見かけるタイプの時代劇。
視点の新しさは全くなく、
チャンバラシーンへのこだわりなどあるはずもなく、
侍の矜持を描く気があるはずもなく、
その他もろもろ何もない。
とはいえ、2時間、退屈極まりないという作品でもないので、
星野源さんのファンや高橋一生さんのファンにはいいのかもしれない。
いい映画を観たい、という人には勧められないが、もともとそういう人は狙っていないだろう。

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