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映画評 「#ハンド全力」 [映画評]

比較的ホイホイ劇場に足を運んでいる私だが、
映画を観る以上、それなりのコストをかけている。
映画の鑑賞料金はもちろんだが、
上演時間だけではなく映画館への行き帰りの時間もそれなりにある。
だから、映画はいいものであってほしい。
歴史に残る傑作はなかなか生まれないのはわかるが、せめて観てよかったというレベルには達していてほしい。
そういつも願っている。

なぜ今さらこんなことを書いているのだろう。
この映画があまり多くの映画館で公開されていないために、遠路はるばる足を運んだからか。
コロナ禍の映画鑑賞に思うところがあるからか。
#ハンド全力、というタイトルに感化されたのか。
それはともかく、大変幸いなことに、本作は楽しかった。
期待以上に。

私は青春映画が好きで、スポーツものも大好物。
ただし、もうほとんどのパターンがやりつくされている気はする。
ここ数年よく見かける希少部活もの(なぎなたの「あさひなぐ」、人力飛行サークルの「トリガール!」、かるたの「ちはやふる」もそうかしら)は、あまりメジャーではない競技という点がスパイスとなっている。
野球やサッカーで王道の感動作を作るのは、なかなか骨かもしれない。

本作は、ハンドボールという微妙な位置づけのスポーツが題材。
そこにSNSという現代的な要素を加えて、かなりひねりの効いた筋立てになっている。

スポーツものなら、最初あれやこれやあっても、
途中から目が覚めて練習に打ち込みはじめる。
本作は、ずっとダラダラした展開が続く。
いらいらしながらも、いっそこのままハンドしなければ面白いな、と思った。
しかし、そこまでは振り切らなかった。
まあ、そうだろう。

スカッとしたスポ根ものをご所望される方にはご不満な内容かもしれないが、
いや、若い頃って、案外こんなもんでしょう。

俳優陣がかなり異色。
主演が加藤清史郎くんで、ほかに安達祐実さん、鈴木福くん、志田未来さん。
何か意図があるのか、子役から出ていた人が集められていた。
印象深かったのは、女優陣。
蒔田彩珠さん、芋生悠さんのお二人が映画を引き締めていた。
私の観る映画観る映画に出ておられるような気がする仲野太賀さんの存在感はさすが。

「#ハンド全力」は、意外に、と言っては失礼だが、なかなか面白い作品。
全力、とはかけはなれた青春模様だが、等身大とも見える。
全力を出せない青春も青春である。

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