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新聞の衰退に歯止めがかかるとしたら [ヨモヤ]

東洋経済オンラインに、
「昨年も180万部減、全然止まらぬ『新聞』衰退の末路」
との見出しの記事が掲載された。

記事によれば、
日本の新聞は、1990年代末の5,000万部超をピークに下降を続け、
本年中に一般紙が3,000万部台を割り込むことが確実なのだという。

これは人口減少が進む日本に特有の減少というわけではなく、
アメリカでも同様の事態が発生しているようだ。
なんでもアメリカでは、過去15年間で2,100の新聞が失われ、
2004年に新聞のあった少なくとも1,800の地域が2020年初めに新聞がない状態になるという。

なぜ世界中で新聞が苦しい立場に追い込まれているかというと、
言うまでもなくネットとの競合である。
とにかくネットは早い。
今起きたことが、すぐさま取り上げられる。
翌日の朝にならないと届かない新聞とは比べ物にならない。
しかも、多様な意見に触れることができる。
もちろん偏った意見も多いが、少なくとも一つの考え方だけではない。

さらに、タダである。

同じ紙媒体では、書籍・雑誌も窮地に追い込まれているが、
2021年は少し盛り返したとの報があった。
ネットとの競合を考えた場合、
新聞も書籍・雑誌もスピードでは圧倒的に劣るが、
深掘りという点で、書籍・雑誌には戦える余地がある。
新聞は深掘りの要素でもネットと対抗するのが難しい。

新聞が戦える要素は、権威や信頼度といった部分だろう。
ネットは玉石混交であり、もっともらしいことが書いてあっても、
なんの裏付けもないということが少なくない。
その点新聞は、いろいろなフィルターを通って表に出るだけに、
掲載されている記事には一定以上の社会的価値があると考えられる。
それを毎日届けているところに新聞社の力があり、
だから、わざわざコストをかけて読む意味が出てくる。

となれば、新聞は正確であり、密度が濃く、奥の深い情報を提供していくしか生き残るすべはないといことになる。
今の新聞がそうした期待に応えられているかどうかは、
部数を継続的に減らしていることがひとつの答えだと思う。

来年も再来年も新聞はあるだろう。
しかし、10年後はどうか。
20年後はどうか。
まだ絶滅が危惧されていない今のうちに、やれることはまだまだあると思う。

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