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映画評 「PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」 ~ 投げっぱなしだが不快ではなく ~ [映画評]

映画の中でのフリは解消するのがルールだと思う。
投げっぱなされるとモヤモヤする。
しかし、実際の生活では映画のように2時間で完結したりはしない。
家庭内での問題は何かで優勝したから消えてなくなるわけではないし、
地域の課題も跡形もなく解決されることなどない。

この映画では、登場人物の周辺が丁寧にではなく結構乱暴に描かれ、
何も解決しないままに終わってしまう。
映画のルールとしてはいただけないし、
モヤモヤした方も少なくないだろう。
私も、それはないよなあ、と感じつつ、本作に関してはそれでもいいかと思えた。

テーマは、高校生の「eスポーツ」大会。
実際にあった話をモデルにしているということだが、
ドラマチックな展開はないので、本当に実話ベースなのかもしれない。

野球やサッカーのように、
汗まみれ泥まみれの特訓シーンはない。
三年間の努力もない。
それでも、若者が何かに夢中になる姿はやはりいい。

主演は、奥平大兼くんと鈴鹿央士くんの二人。
奥平くんは「MOTHER マザー」「マイスモールランド」「あつい胸さわぎ」と3作連続でその年のベストクラスの作品に出演した経歴を持つ名画製造機。
引きのよさに加え、彼の存在が映画をよいものにしているのだろう。
鈴鹿央士くんは「蜜蜂と遠雷」の印象が鮮烈。
その後はそこまでの作品には巡り会えていないようだ。
「遠いところ」が鮮烈だった花瀬琴音さんが、今回は可愛い女子高生役。
振り幅が広い女優さんとして活躍の場を広げそう。

「PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」はなかなか楽しめる映画。
もっと遠くまで行けたような気もするが、
気合入れたからといってうまくいくわけではないし、
物事が何も解決しないこともあるというところも妙にリアル。
捨てがたい魅力のある作品になった。

タグ:PLAY!
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