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映画評 「僕に、会いたかった」 [映画評]

麻雀で、下りているのに振り込んでしまうことがある。
どうして、よりによってそれを選んだのか、と後から悔やむことになる。
いろいろな映画をやっているのに、私が選んだのは「僕に、会いたかった」。
どうして、それを選んだのか、と自分に問いたい気分である。

こうした映画を観るたびに思うことは、
「脚本のチェックって、どうなっているのだろう?」
ということだ。
よく、こんな生煮えの状態で作品にしてしまえるものだと妙な感心をしてしまう。
読めば、おかしいって気付くだろうに。

EXILEの TAKAHIROさん演じる主人公は、12年前に起きたある事故をきっかけに記憶を失っているという設定。
漁師なのだが、その事故によって漁に出られなくなっている。
古今東西、記憶喪失ものは多く作られているが、成功しているケースは少ないと思う。
どうせ最後には思い出すとわかっているからだけでなく、
設定に無理があり過ぎるからだろう。
本作でも、無理矢理な設定が強引に回収されるのだが、この展開に感情移入できる人は相当まれだと思う。

主演のTAKAHIROさんが演じるのは、やたらと難しい役どころ。
誰がやったってしんどかっただろうと思うけれど、残念ながら伝わってくるものはなかった。
主人公を見守る母を、松坂慶子さんが演じる。
ちょっとベタベタし過ぎだったろうか。
他の役者さんで、印象深い方は特にいなかった。

「僕に、会いたかった」は、困った日本映画の典型的なパターンの一つ。
厳しい言い方をすれば、
いい人が出ているあたたかい作品にすれば、いい映画っぽく思ってもらえるのではないか、
という甘さを感じる。
もっと、ギリギリと詰めてもらわないと。
TAKAHIROさんのファンの方は、この映画をどう観られるのだろう。
カッコいいシーンもほとんどないので、お勧めするのにも気が引ける。

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