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映画評 「Girl」 [映画評]

本作は、カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)のほか、
アカデミー賞外国語映画賞〈ベルギー代表〉、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞など、
数々の賞を受賞している。
難しいテーマに真っ向から取組み、高い評価を受けた。

あらすじはこんな感じ。
主人公は15歳のトランスジェンダー。女性への転換を目指して治療を続けつつ、バレリーナを目指して努力を重ね、難関のバレエ学校への編入を果たす。
しかし、初めての舞台公演が迫る中、バレエ学校の仲間からの心ない仕打ちや、思春期の身体の変化により思い通りに動けなくなることへの焦りが、徐々に彼女の心と体を追い詰めていく。

各種映画祭での高評価どおり、私も、しっかり作られたいい映画だと思って観ていた。
逃げずにちゃんと作れば、こういうきちんとした映画になる。
特に凄いのが、主役を演じたビクトール・ポルスターという人。
予備知識無く観に行ったため、
こんなきれいな男の子が、たまたまバレエもしっかりこなせるとは思えなかったので、
どのように撮影したのか不思議に思ったほどだった。
映画を観た後、ポルスターくんは実際のバレエ・ダンサーであり、
そのため、CGなどを使わなくても撮影ができたと知った。
ダンス以外の演技も含め、素晴らしかった。

主人公の父親役もいいし、
主人公の弟もいい。

しかし、と思う。
あのラストはどうなのか。
映画の公式サイトには、
「イノセントな彼女がたどり着く、
映画史上最も鮮烈でエモーショナルなクライマックス!」
とある。
確かに鮮烈であり、衝撃的である。
しかし、それはない、と思ってしまった。
ラストが気に入らないからといって映画を全否定するつもりはないが、
主人公にそうさせてしまっては、一体何なんだと感じた。
ネタバレになってしまうので何をどうしたかは書かないが、
私は強烈な違和感を覚えた。
もったいない。
ただ、あのラストありきで撮られた映画である気もするので、もったいないというのとは少し違うのかもしれない。

「Girl」はいろんな意味で痛い映画。
痛みを受け止める覚悟でご覧いただきたい。

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