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映画評 「ジオラマボーイ・パノラマガール」 [映画評]

本作は、1980年代から90年代にかけて活躍された漫画家・岡崎京子さんの同名タイトル作品を映画化したもの。
岡崎さんは、バリバリ活躍されていた1996年に交通事故に遭われ、作家活動はそこで停止している。
しかし、本作のほか、「チワワちゃん」「リバース・エッジ」「ヘルタースケルター」といった作品が、長い時を経て次々映画化されるという稀有な存在である。

東京ボーイミーツガールストーリーとの触れ込みで、
「時代が、街が変わっても、『好き』の気持ちは、しぶとく残る。」
とのキャッチにもそそられた。
私は結構恋愛ものが好きなのだ。

ただし、この作品は単純な恋愛ものと比べるとかなり距離があった。
SFチックではないのだが、登場人物の行動が理解不能。
それゆえ、二人のすれ違いが描かれるが、キュンとしたりはしない。
私の心にしみてくるものもなかった。

ヒロインの山田杏奈さんは、溌溂と好演されていると思うが、
役に魅力が感じられない。
平凡な女の子という設定なのだが、ならばそれで押し通してほしかった。
引き込まれる造形はされていないし、男の子を好きになる理由もわからない。
鈴木仁さん演じる相手方の方には、少し惹かれる要素がある。
少し。
二人の役柄に魅力がないので、物語に入っていけない。
乾いたタッチになっているわけでもなく。

描きたいものはなんとなく伝わってくるし、
私の好きな世界であるようにも思う。
しかしちょっとずれている。
ちょっとしたずれはかえって大きな違和感となり、私は疎外された。
都会の若者を描くのなら、もっと違った撮り方があったのではないだろうか。

「ジオラマボーイ・パノラマガール」は、なんかムズムズする作品。
振り切れているようで振り切れていないようで、
ポップなようなポップでないようで。

この映画を観ていて、「なんだか疲れたなあ」と感じた。
どうしてこの映画を観ているんだろう、などとそもそもに立ち返ってみたりして。
なんだか、疲れたのだ。

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