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映画評 「ノマドランド」 [映画評]

「ノマド」とは「遊牧民」のこと。
日本では、「ノマドワーカー」なる言葉もあるが、これはパソコンやスマホなどを使って、
オフィス以外のあちこちを転々としながら仕事をする人のことを指す。
この映画でのノマドは、アメリカの各地を移動しながら車上で生活している人のこと。
映画の中で主人公が、かつての教え子に
「先生はホームレスなの?」
と聞かれ、
「いいえ、ハウスレスよ」
と答えるシーンがある。
ホーム、つまり帰るべき場所はある、
ただ、物理的な家がないだけで、ということだろう。

主人公の女性は、金融危機のあおりにより住む場所を追われ、夫も病気で失っている。
そして放浪の旅を続けるのだが、お金を得るためにアマゾンで一時雇用として働いたりする。
まったくの根無し草になるわけではなく、ネット企業で職を得るあたりが現代のノマドの姿なのだろう。

旅の途中で、主人公は多くのノマドたちに出会うのだが、
普通の映画とは異なり、実在のノマドたちのなかに身を投じ、彼らと路上や仕事場で交流したのだという。
登場人物の多くも、俳優ではなく、本物のノマドなのだそうだ。
どうりで真に迫っているわけだ。

主人公の女性を演じるのはフランシス・マクドーマンドさん。
アカデミー賞、エミー賞、トニー賞のすべてを受賞している演劇の三冠王。
本作でもかなりしんどいシーンがあるのだが、ズバッとこなされている。
女優魂全開である。

本作はベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しており、アカデミー賞でも本命視されているという。
確かに力作であり、時代を切り取っている。
が、エンタテインメントとしてどうかというと、満足度が高いわけではない。
ドキュメンタリーとして観れば、それなりに、という感じだが、
映画的なときめきを求めると肩すかしとなる。
ストーリーらしいストーリーもない。
観る人を選ぶ面も強そうな作品であり、それなりの覚悟を持って劇場に足をお運びいただきますように。

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