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赤頭巾ちゃん気をつけて [読書記録]

とある企画の賞品を考える機会があった。
賞品として何かを出すかどうか、
渡すとして何を渡すか、
といったことは私に委ねられていた。

私は、本を贈りたいと思い付き、
何を買うと決めずに本屋に行った。

本屋の棚を眺めていて、贈り物として心に浮かんだのは、
大崎善生さんの「聖の青春」と
庄司薫さんの「赤頭巾ちゃん気をつけて」の2作だった。

その企画には仕事を少しでもよいものにしたいと思う元気のいい人たちが集まっていて、
その意味ではさらに生きることに力をもらえる「聖の青春」がふさわしいように思えたが、
何故か心惹かれたのは
庄司薫さんの「赤頭巾ちゃん気をつけて」だった。

「赤頭巾ちゃん気をつけて」は、1969年の芥川賞受賞作。
もう50年以上も昔の作品ということになる。
しかし、いい作品は古いことが傷になることはない。

ちなみに、アマゾンの書籍紹介はこんな感じである。
『学生運動の煽りを受け、東大入試が中止になるという災難に見舞われた日比谷高校三年の薫くん。そのうえ愛犬が死に、幼馴染の由美と絶交し、踏んだり蹴ったりの一日がスタートするが――。真の知性とは何か。戦後民主主義はどこまで到達できるのか。
青年の眼で、現代日本に通底する価値観の揺らぎを直視し、今なお斬新な文体による青春小説の最高傑作。』

小説の主人公である薫くんは、
繊細で臆病で自意識過剰で、
しかし、
勇敢で優しく何かと戦っている。
そんな薫くんが自分を見つめて、
女の子を助ける決意を固める。

文体はとても分かりやすく、
話もややこしくないので、
若者の一日の出来事としてすっと入ってくる。
何気ない日常が、いつまでも変わらないものを感じさせる。
「生きなきゃ」
という気持ちにさせられる。
「守らなきゃ」
という決意が生まれる。

「赤頭巾ちゃん気をつけて」を受け取った方は、
もう読まれただろうか。
どんなことをお感じになっただろうか。

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