SSブログ

映画評 「52ヘルツのクジラたち」 ~ 原作どおりでなくても構わないけれど ~ [映画評]

2021年本屋大賞を受賞した町田そのこさんのベストセラー小説の映画化。
原作を読んだが、
大好きにはならなかったもののそれなりに楽しめた。
それを成島出監督が映像化するとのことで、期待して劇場に足を運んだ。

原作は単行本で260ページ。
長過ぎるということはないが、当然すべてを映像化することはできない。
どこを膨らませてどこを削るか、
脚本家と監督の腕の見せ所である。

最初のシーンで、洒落た家と美しい風景が映る。
ここで気持ちを掴まれた。
成島監督の「八日目の蝉」のような心に残る作品になるかと思えた。

しかし、そこからはうまくいかなかった。
基本的には原作に忠実に進むのだが、
ブツ切りな感じで、気持ちが入り込まない。
描くべきところが描き切れておらず、
誰にどう感情移入すればいいのか、最後までつかめなかった。

主演の杉咲花さんの演技は今回も強烈。
杉咲さんを観る映画ととらえればいいのだろうが、そこに寄りかかり過ぎている感じもした。
物語のカギを握る存在に志尊淳さん。
志尊さんの責任ではなく、役柄の行動の意図が不明。
悪役的な存在に宮沢氷魚さん。
今回の役はなかなか難しく、あまりうまくいかなかったように感じた。

私は、原作と映画は別物と考えるクチであり、
改変があってもそれだけで悪いこととは思わない。
しかし、別物であっても、良いものではあってほしい。
「52ヘルツのクジラたち」は、映画化して良いものになったかといえば、
どうだろう。
成島監督にして、いつもうまくいくとは限らない。
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。