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映画評 「私をくいとめて」 [映画評]

本作は、綿矢りささんの原作を、大九明子さんが脚本・監督を務めて映画化したもの。
松岡茉優さん主演で公開された「勝手にふるえてろ」と全く同じパターンである。
なんとなく話の設定も似ている気がするが、面白ければなんでもいい。
「勝手に」が面白かったので、今回も期待した。

主演は、のんさん。
能年玲奈名義で出演された「海月姫」は大好きな作品だし、
のん名義で声の出演をされた「この世界の片隅に」は一生忘れない傑作だった。
本作でも、のんさんの魅力は全開。
表情がアップになるシーンが多いのだが、
笑っても泣いても怒っても素敵だった。
だから、のんさんを観に行くつもりで劇場に足を運べば損はない。

ただし、「勝手にふるえてろ」と比べると、作品としての力は残念ながらかなり落ちる。
設定もシチュエーションも似通っているのだが、説得力が希薄で入り込めない。
主人公がやたらと恋愛に臆病なのだが、そのあたりの背景をもう少し描いてもらえないと、単なる変わった人にしか見えなくなってしまう。
作り手は、「単なる変わった人」でいいと割り切ったのかもしれないが、それでは見ている側はしんどい。
大九明子監督の前作「甘いお酒でうがい」でも感じたことだが、恋愛の機微も今一つ伝わってこない。

「私をくいとめて」の上映時間は2時間13分。
これが実に長く感じた。
1時間半くらいなら、もう少し印象が変わったかもしれない。

ちょっとした見どころとして、「THE W」に優勝された吉住さんがネタを披露されているシーンがある。
本作の撮影中には、Wでの優勝は想定されていなかっただろうから、まさにグッドタイミング。
意外と大切な場面として使われている。

のんさんと橋本愛さんが「あまちゃん」以来の共演を果たしているのも話題。
潮騒のメモリーズから7年ぶりの共演となるらしい。

「私をくいとめて」は、のんさんを鑑賞する映画。
そうと割り切れば、満足度は高い。

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