SSブログ

2020年の日本映画を振り返る その2 「困った映画たち」 [映画評]

2020年に観た邦画の数は96本。
春先の緊急事態宣言中は映画館自体が閉じていたし、
宣言明けも新作映画がなかなか公開されなかったことを考えると、
我ながらかなりの本数を観た。
観ることで映画界を支えたいという思いもあった。

どんな映画も楽しみに観に行くのだが、残念ながら期待外れに終わる作品もある。
というか少なくない。
今回は、2020年の邦画から、困った映画を振り返ってみよう。

まずは「クソみたいな映画」である。
いや、こういうタイトルの映画があったのだ。
NON STYLEの石田さんの脚本ということで期待して観に行ったのだが、いやもうタイトルを上回るようなハラホロヒレハレさ。
タイトルに決して負けていない、いやタイトルを上回るほどの惨劇。

もったいないなあ、と思ったのは、
「弱虫ペダル」
「ぐらんぶる」
といった漫画作品の実写映画。
若手俳優の皆さんが頑張って演じているのだが、いかんせん映画としてなっていない。
せっかくの人気コンテンツを活かしきれないのは残念至極である。
上記2作品のほか、2020年も漫画の実写化が相次いだが、どうにもうまくいかない。
「ちはやふる」のような成功例もあるので、実写化が必ずダメとも限らないが、成功率の低さはどうしたことか。

サスペンス系でダメダメだったのは、
「仮面病棟」
「ドクター・デスの遺産―BLACK FILE―」
といったところ。
もともと、サスペンス系で成功した日本映画はあまりないが、それにしても。
大がかりな仕掛けとかいらないので、せめて辻褄が合っていたり、説得力があったりする脚本で映画を作ってほしい。
とうか、なぜそうしないのだろう。
脚本の書き直しとか、させないのだろうか。

ホラーの「事故物件 恐い間取り」も、なにこれ、という感じ。
しかしまあ、ヒットしたのだから成功作と言えるのだろうか。
客商売だから、来てもらってナンボではある。

アニメでは、
「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」
「STAND BY ME ドラえもん 2」
といった定番が残念。
どちらも固定ファンがおられ、観に行かれた方はそれなりに満足しておられるようであり、ならまあそれでいいか、という気にもなるが、一定のヒットが約束されているのだから、もう少し作り込んでも罰は当たるまいに、という思いになった。

どうせトンデモ映画にするのなら、
「MANRIKI」
くらい突き抜けてしまえば、「ひどい映画だな」と思いつつ、不思議な愛着を感じることもある。
お笑い芸人の永野さんの脚本に、齊藤工さんが企画・プロデュースで加わった本作。
絶句するようなトンデモなのだが、こうした突き抜け方は映画らしいとも言える。
少なくとも、当てに行ってドン滑りよりはいい。

その他では、「尾崎豊を探して」「太陽の家」「サヨナラまでの30分」「Red」「私がモテてどうすんだ」といったところが残念組。

2020年は、映画を観に行けない時間が長くなり、ファンの映画への愛着が高まった年であった。
しかし、せっかく観に行ったのに、映画愛がどこにも感じられない代物を見せられたらへこむ。
自分は何を守ろうとしているのか、という気にさえなる。
作り手の皆さんは、ファンからの愛にいい作品を作ることで応えてください。
熱い作品を届けてください。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事