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映画評 「窮鼠はチーズの夢を見る」 [映画評]

行定勲さんの監督作品。
行定作品では、今年は「劇場」も公開されたが、これがなかなかよかった。
窮鼠もネットなどで高評価。
期待を高めて観に行った。

このところ、映画界はBLが祭り状態である。
実写の「his」「性の劇薬」、
アニメの「囀る鳥は羽ばたかない」「ギヴン」などなどなどなど。
業界的に、「商売になる」と思われているのだろう。
映画ファンとしては、BLでもなんでもしっかりした作品であれば歓迎である。
ちなみに本作の主人公は、もう30歳がらみ。
年齢にかかわらず男同士の恋愛を描けばボーイと呼ぶのだろうか。

主演は、大倉忠義さんと成田凌さん。
どんな役にもするっと滑り込み、自分の世界を築き上げる成田さんに、
映画での役柄での立場と同様、大倉さんが「受け」に回っている感がある。
本作では、それが悪い方には出ていない。

映画の中で、成田凌さんが言っているように、人が人を好きになるのに理由はない。
駄目な奴、とわかっていても好きになることはある。
もともと、完璧な人間などいるわけがないから、誰もが欠点を受け入れながら人を好きになる。
というのはよくわかるのだが、本作では今一つしっくりこなかった。
同じく行定作品の「劇場」では、どうしようもない男を女が支えていた。
しかし、そこにはそれなりの意味があり、納得できた。
本作の場合、どうしてそこまで追いかけるのか、どうにもわからず。
理由なんかない、と言われればそれまでだが、それを言ってしまってはその先もない。

大倉さん演じる追いかけられる男が女にだらしない。
しかし、途中まではどこか許せるものがあった。
それが、映画の最後で最もひどいことをしてしまう。
愛を知った人がすることとは思えず、いったい何だったのかしらと。

「窮鼠はチーズの夢を見る」は、リラックスしてBLを楽しむにはいい映画。
絡みもふんだんにある。
成田くんも相変わらずすごい。
ただ、その先に行けているようには感じられなかった。

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