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映画評 「竜とそばかすの姫」 [映画評]

初日からメダリストが誕生し、池江選手も登場。
私も、朝からオリンピックに釘付け。
なのだが、映画評もぼちぼち上げていかないと溜まって仕方がない。
今回は、「竜とそばかすの姫」。
いい評を書きようがないのが残念だが・・・。

本作の予告編を観た人は、誰もが「サマーウォーズ」との類似性を思うだろう。
それだけではなく、細田監督の他の作品に似たようなシーンがあることに気づく人もいるはずである。

他の細田作品と似たような作品だったらどうしよう、
という観る側の不安をあざ笑うかのように、
のっけから「サマーウォーズ」と共通の世界観を提示してくる。
あまりにも共通であり過ぎて笑ってしまうくらい。
この開き直りには驚かされた。
衝撃的ですらあった。

しかし、面白かったのはここまで。
細田監督ファンとして、
きっと面白くなる、ワクワクする展開になる、
と懸命に自分を鼓舞するが、
実際にはどんどん深みにはまってしまう。
悪い方へ、悪い方へ。

ツッコミどころがあるとかないとかいう以前に、
ここが好きになれない、
ここがわけがわからない、
という要素が多過ぎた。
主人公も含め、感情移入できるキャラクターがおらず、
物語としてもまったくイケていない。
細田監督の作品にこうした評を書きたくないのだが、
いやはや、なんとも、どうにもならない。

細田監督作品ともなると、超ビッグタイトルであり、タイアップがすごい。
多くの大手企業が絡んでいて、
電通と博報堂の両方の名前もクレジットされていた。
それだけの期待を受ける作品であり、
関係する人はとんでもない人数になると思うが、
チェック体制って、どうなっているのだろう。
もちろん、利害関係者が作品に対していちいちワーワー言うのが正しいことだと思わない。
それにしても、誰かが何かを監督に伝えることはないのだろうか。
「このままでは、サマーウォーズの二番煎じにもなりませんよ」
「正直、つまらないと思います」
みたいな厳しいことを。
誰が観ても思うことを。

本作では、「時をかける少女」に似たシーンも出てくる。
時かけの価値まで下げてしまいかねない。
正直、やめてほしかった。

今作の自爆ぶりは、ちょっと心配になるくらいである。
細田監督、大丈夫なのだろうか。

いいところ、という点では、絵の美しさは素晴らしい。
どのカットも細部まで心が込められていて、その仕事ぶりに感嘆する。
それは素晴らしい。
しかし、それだけでは・・・。

「竜とそばかすの姫」は、残念極まりない作品。
単なる失敗作であれば世の中に満ち溢れたよくある話だが、
自らの過去の傑作まで道連れにしてしまうという罪までおかしている。
それはあんまりである。
細田監督、一体、どうしてしまわれたのだろう。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」と連発された監督とは信じられないほどの崩壊ぶりである。

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