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大江健三郎さんのこと [読書記録]

大江健三郎さんが亡くなられた。
88歳。
老衰だという。

学生の頃、一番衝撃を受けた作家が大江健三郎さんだった。
最初に読んだ本は、
「死者の奢り」
だっただろうか。
その中には、芥川賞受賞作となる「飼育」なども収められていた。
感動した、
というより、
驚いた、
という表現が当てはまる。
文学というものに吸い寄せられる大きなきっかけが大江作品だった。

それから、古本屋で大江さんの本を見つけるとすかさず買うようになった。
「芽むしり仔撃ち」
「われらの時代」
「見るまえに跳べ」
「性的人間」
といった著作群は、どれもが胸の奥にドシンと来た。
これらが1960年代の前半の作品であり、
代表作とされることの多い「万延元年のフットボール」が1967年。
万延元年以降の作品は私にはなぜかピンと来なくなってしまった。

さらに、1980年代以降の大江さんの作品には、どうにも関心が持てなかった。
おっしゃっていることにも共感ができず、
ノーベル賞受賞時のスピーチもピンと来なかった。
だから、もう何年も、いやひょっとしたら何十年も、
大江健三郎さんの作品を読んでいない。
私の魂が、ほんの一時、求めた作家だったのだろうか。
ただ、後年の大江さんのことはともかく、若い頃に出会えたことには心から感謝したい。

1935年生まれの大江さんが、
「死者の奢り」でデビューされたのが1957年。
そして23歳で芥川賞を受賞された。
ギラギラ光を発された時期は短かったのかもしれないが、
その光は永久に消えない。

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