SSブログ

映画評 「窓辺にて」 [映画評]

毎年、2本、3本と映画を作り続けている今泉力哉監督。
基本、「辛気臭い」映画なのだが、私の好みでもあって大抵観てしまう。
半径0.5mくらいの狭い世界のお話で、テーマも似通っているのだけれど。

本作も、いつもの今泉ワールド。
ゆるゆるとときは流れ、
こういう映画もありよのう、
などと思う。
ちょっと贅沢な時間の使い方。

しかし、今作は、過ぎるというかなんというか。
上映時間が長過ぎるというのもあるが、それだけではなく、
作り方に余裕があり過ぎるように感じた。
登場人物は、皆おとぎ話の中の人たちのよう。
小奇麗で浮世離れしていて。

主人公の男性は、
妻が浮気しているのを知ったにも関わらずショックを受けなかったことにショックを受けた、
という設定なのだが、
正直、そこに新しさはないし、共感するというよりよくある話と思えてしまった。
繊細な人かと思いきや、
そんな自分の悩みをそこらじゅうで相談する。
自分の恥をさらすのは勝手だが、奥さんあまりに可哀そう。
変なの。

他の登場人物も、皆、人の心を持っているのかどうか疑いたくなるような設定。
登場人物が動いているというより、
監督の頭の中で動かしたものをそのまま映画にしてしまった感じ。
共感できない、
というだけでなく、
あまり美しくないものを延々見せられている気分になった。

今年公開された今泉監督関連作品では、
脚本を担当された「愛なのに」が一番面白かった。
愛があった。
監督された「猫は逃げた」と本作「窓辺にて」からは、愛が感じられなかった。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事