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映画評 「ファミリア」 [映画評]

「八日目の蟬」の成島出監督がメガホンを取り、
役所広司さんが主演を務める。
これだけでほぼ成功が見えている感じだが、
吉沢亮さん、室井滋さん、佐藤浩市さんらが脇を固めるとあっては、
いい映画率がグッと高まる。

実際、途中までは引き込まれる展開で、
新年早々いい映画に出会えたのかも、と嬉しくなった。
しかし、後半に向かうにしたがって、
主要登場人物が意味不明の行動を次々と取り始め、
最終盤になると映画自体がほぼ崩壊してしまった。
成島監督、2021年の「いのちの停車場」もアイタタタな出来栄えで、
2作連続で個人的にはまったくはまらなかった。

ストーリーは、観終わってみれば完全な盛り込み過ぎ。
役所さん演じる主人公は、一人山里に暮らす陶器職人。
吉沢さん演じるその息子は、なんでもいい大学を出たエリートらしく、
現在アルジェリアに赴任中。
帰って来たと思ったら、ナディアという女の子と一緒で、婚約しているという。
静かな町かと思えば全くそんなことはなく、
最初から在日ブラジル人コミュニティと半グレがバチバチにやり合う。
さらにアルジェリアのプラントでも大事件勃発。
設定からして大技だが、
先の展開も、「え、嘘~っ」と言いたくなるようなことばかり。
途中まで、それでも破綻なく見せてくださって感心していたのだが、
終盤は収拾がつかなくなった。

役所さんの演技はいつものとおり盤石。
しかし、無茶な脚本でさすがにこれは。
吉沢さんはさわやかに好演。
最後のシーンは、悲痛なはずがちょっと笑えてしまうという演出の悲しさ。
佐藤浩市さんは、友情出演的な存在。
もったいないと言えば、めちゃくちゃもったいない。
MIYAVIさんが半グレ役で出演。
「ヘルドッグス」での暴力団の組長役ははまっていたが、今作は残念。


「ファミリア」は、欲張り過ぎて崩壊するという、
よくあるといえばよくあるパターン。
はじめからこじんまりまとまり過ぎるのもつまらないが、
広げた風呂敷をうまく閉じられなかった。

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