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「商店街を守るべきなのか」という問い [診断士的経済アプローチ]

日経の5月18日付の社説に、
「商店街」を守るべきなのか
との論説が掲載された。
直近で商店街に関する政策が打ち出されたわけでもないので、あたためておかれた主張だったのだろうか。

内容は、
・改正中活法なども大きな成果がなく、商店街の衰退が止まっていないこと。
・小規模店の保護から脱し、暮らす人のための街という視点をもっと取り入れてはどうかということ。
・目指すべきは既存の事業者の保護よりも、高齢化に備えた街としての機能強化であること。
・商店街は、少子高齢化時代に重要となる団体や、託児所との連携が不十分であること。
・街の新陳代謝を促す試みが必要であること。
・「歩いて暮らせる街」だけが正解ではなく、そこに暮らす人々の満足度が最大になるやり方は何かという観点から柔軟に考えるべきであること。
・モデルに合致したところ補助金を出すといったやり方は、個性や魅力を伸ばすことの妨げになりかねないこと。
などである。

タイトルだけを見ると、「商店街を守るべきではない」といった思い切った提言がなされるのかと思えたが、そうした内容ではなかった。
画一的な活性化ではむしろ商店街は活性化しないし、既存の商店の保護の効果も限定的であり、時代の変化に合わせて、個性をもった取り組みを進めていくべき、といったことになろうか。

ただ、商店街や政策担当者からすれば、それが難しいのだ、ということになるだろう。
また、実際のところ、商店街を守れてなどいない。
シャッター通りになっている商店街はいくらでもあるし、商店街の数、商店の数自体が、減少の一途となっている。

実際、既存の商店街をすべて守ろうとしても、それは不可能であることは現状からして明らかである。
商店街が存続していくためには、お客さんから選んでもらわなければならない。
わざわざ足を運んでいただき、品質でも、品揃えでも、価格でも、納得してもらわなければならない。
大型店や街道沿いのコンビニとの競争のなか、そうしたことを実現していくことが難しいことは、容易に想像できる。

商店街は、個店としてではなく、街として闘っていかなければ勝ち目はない。
ただし、闘う相手は、ショッピングセンターや大型店とではない。
それらと同じ土俵に乗ったら、勝ち目はない。
仮想敵と闘うのではなく、お客さんの「行ってみたい」という気持ちを向けてもらうべく闘うべきであろう。
「街」としての魅力が高まれば、ちょっと行ってみようかという人も出てくるはずだ。
そして、来てくれた方々をファンにしてしまいたい。

商店街の衰退を食い止めるのは、簡単ではない。
しかし、栄えている商店街がないわけではない。
道はあるのだ。
街を歩きたいという気持ちは、人間の本能のようなものである。
時代のせいにせず、政策のせいにせず、前を向いて進んでいこう。
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コメント 2

サン

昔の診断士です。商店街の診断をたくさんやってきました。
商店街は宅地の開発などに伴って、自然発生的にできたところが多いのです。人が住めば必要になった店ができ、人口が増えてゆく中では品物を置けば売れました。
いろいろな変化があって、品物を置くだけでは売れなくなりました。
昔の補助金は、街路灯とか歩道舗装とかが多くて、そのあとソフト事業になって・・・・・。過去の商店街へ行くと、繁盛しているところはないような気がします。
この国の補助金は商店街だけでなく、無意味な使われ方が多くて、イライラします。
起業とかでも、補助金をもらって成功はしないといわれていますが。

もう少し考えがまとまってからにします。
by サン (2013-05-20 13:10) 

淋

サンさん、コメントありがとうございます。
都内の商店街は元気なところがまだまだいくつもありますが、少し離れると、本当に惨憺たる状況です。
もちろん、自助努力が第一ですが、補助金行政の弊害も無視はできないですね。
by (2013-05-20 21:38) 

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