SSブログ

映画評 「すばらしき世界」 [映画評]

本作は、西川美和さんの監督作品。
西川さんは、いつも脚本も務められるから、撮りたいように撮られている感じがある。
本作も、いろんな要素や展開がてんこ盛りとなっていて、
通常ならとっちらかってしまうところであるが、
見事な手腕でまとめ上げられて、混乱は生じない。
さすがである。

主演が役所広司さんで、
取り囲む面々が、
仲野太賀さん、橋爪功さん、六角精児さん、北村有起哉さん。
地味っちゃ地味だが、このうえなく贅沢と言えば贅沢。
一堂に会するシーンなど、面々を眺めているだけで何やら笑えてしまう。

映画は、役所さん演じる刑期を終えて出所した元殺人犯が、まっとうに生きようとあがく日々を描く。
主人公は、短気で暴力的で、世間の常識的には「まともではない」のかもしれないが、
正義感が強く、自分の力で生きていこうとする面も持っている。
仲野大賀さん演じるテレビマンは、はじめは取材対象として遠巻きに見ていたのだが、
どんどん主人公にのめり込んでいく。

世の中は理不尽なことばかりであり、
ひどい奴も多い。
主人公の苦しみは募る。
一方、支えようとする人たちはあたたかく、正面から向き合ってくれる。
いいこともあり、悪いこともあり、悪いこともあり、悪いこともあり、
それでもいいこともある。

「すばらしき世界」というタイトルに、西川監督はどのような思いを込めたのだろう。
皮肉か、真実か、それとも希望か。

テーマ的に派手さではないからだろうか、公開初週の動員はあまりはかばかしくなかったようだ。
しかし、しっかり作られたいい映画であり、是非多くの人にご覧いただきたい。
こういう映画がヒットすれば、すばらしき世界だなあと思えるのだが。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。