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今村夏子さんの「こちらあみ子」を読んだ ~「花束みたいな恋をした」からの~ [ヨモヤ]

2011年に発売された今村夏子さんの「こちらあみ子」という本が売れている。
もちろん、いい本だから長く売れているということもあるだろうが、
ここに来て火がついているのは、
映画「花束みたいな恋をした」で取り上げられているから。

映画の中で花束みたいな恋をした二人は、感性が近く、同じような本、漫画、舞台などを見ている。
そうした共通の視野の中にあるのが、今村夏子さんの「ピクニック」という小説。
この「こちらあみ子」という本の中に収録されている。
映画の中で主人公は、自分たちと相容れない大人たちを指して、
「そいつは今村夏子の『ピクニック』を読んでも何にも感じない奴だよ」
といったセリフをはく。
自分たちは今の感性を失わないようにしよう、という気持ちの表れでもあるだろう。

「花束みたいな恋をした」は大好きな映画になったので、登場人物が推していた「ピクニック」も読んでみたいと思った。
自分が何にも感じないかどうか、それも気になった。

読んでみた結果、「あれ?」、何かの基準となるようなお話ではないように思えた。
「ピクニック」という作品は、タイトルとは裏腹にかなりえぐいもので、
人間の残酷でいやらしいところが、それとわからないように描かれている。
だからこそ、なおさらいやらしい。
「ううむ」とは思うが、これを読んで何も感じない人がいたとしても、私は別に何とも思わない。

映画「花束みたいな恋をした」は、公開以来、実に5週連続興行成績1位を守っている。
春休み前の時期で、大作が公開される狭間であるという面はあるにしても、
最初の週から動員の落ち込みがあまり見られない、いわゆる「腰の強い」興行を展開している。
観た人に強い印象を残す映画であり、主人公の二人が好きだと言っていた人物や作品には、注目が集まるだろう。
それは、今村夏子さんのほか、
天竺鼠さんだったり、押井守さんだったり、「ゴールデンカムイ」だったりする。
これらの作品に触れて、自分の感性を確認する人もおられるだろう。
私のように。
しかし、あの映画を観て、主人公が好きだというこの本やあの漫画を読んで、無理になんとか感じようとされる方がおられるかもしれないが、そんな必要はない。
当たり前のことだが。

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