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映画評 「MOTHER マザー」 [映画評]

この映画を好きだ、という感想を持つ人は少ないのではないだろうか。
観ている最中はずっと嫌な気持ちになるはずであり、
後味の悪さも格別である。

長澤まさみさんと阿部サダヲさんというビッグネームを使って、
徹頭徹尾救いのない映画を作る。
当然、大ヒットするはずもない。
どうしてこの映画を撮ろうという気になったのだろう。
どうしてこの映画を撮らせようという気になったのだろう。

本作は、駄作ではない。
いやむしろ、非常によくできた映画だと思う。
傑作、と評する人もいるだろう。
しかし、よくできた作品であればあるほどなおさら感じてしまう。
どうしてこの映画を撮ろうという気になったのだろう。

映画の作り手は、
人を感動させたり、
人を喜ばせたり、
人を怖がらせたり、
人を泣かせたり、
人を考えこませたり、
そうしたことがしたいと思うのではないだろうか。
そして、エンタテインメントとして成立させ、悲惨な話でもどこかで救いを持たせたりするのではないだろうか。
本作のように、巨悪ですらない、ひたすらただ駄目な人間を描くモチベーションはどこから来るのだろう。

繰り返すが、本作は駄作ではない。
むしろ、隙のない非常によくできた作品だと思う。
脚本も、演出も、俳優陣も、すごかった。
観てよかったと思う。
だからこそ感じてしまう。
どうしてこの映画を撮ろうという気になったのだろう。
映画って何なのか、
ということを今更ながら考えさせられた作品だった。

最低の母親役を長澤まさみさんが熱演。
見事に演じ切られた。
息子役の郡司翔くん(幼少期)、奥平大兼くん(少年期)も素晴らしかった。
映画の説得力を増させていた。

監督は大森立嗣さん。
一切の妥協なく、救いのない映画を作り上げられた。
すさまじい手腕であると思う。

「MOTHER マザー」は一分の緩みもなく作り上げられた衝撃作。
個人的には、改めて、
映画とは何か、
創作とは何か、
といったことを考えさせられた。
最悪の後味で、誰にでも勧められる作品ではないが、
映画ファンならば勇を振り絞ってご覧あれ。

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日本球界球速インフレ進行中 ~ 私もこの波に乗って ~ [55歳125キロプロジェクト]

1980年代の前半、「週刊少年マガジン」に「光の小次郎」という漫画が連載されていた。
「ドカベン」や「野球狂の詩」などで知られる水島新司さんの作品で、主人公の新田小次郎は最速160㎞の速球を投げる設定だった。
当時、140㎞を超えれば速球派として胸が張れる感じだったので、
160㎞はまさに漫画の世界。
「そんな奴あ、いないよ」と突っ込んでいた。

光の小次郎から15年ほど経ち、1999年4月7日、松坂大輔投手のプロデビュー戦。
初回、日本ハムの片岡さんから空振り三振を奪った球が155㎞。
怪物の初戦として、あまりにも鮮烈であった。

しかし、今155㎞の数字を見ても、それほど驚かない。
そのクラスの球を投げるピッチャーは、それこそ何人もいるからである。
160㎞が出れば「おぉ」とは思うが、それにしてもそこまでの驚きはない。
この頃主流の外国人のセットアッパーやクローザーは軒並み160㎞クラスだし、
復帰したソフトバンクの千賀も161㎞を出したし、
西武のセットアッパー平良も連日158㎞を計測している。
あまり知られていないソフトバンクの杉山という投手(もちろん期待の選手だが)も157㎞を出した。
投手の分業制が進み、勝ち試合では7回、8回、9回と1イニングずつ違う投手が投げるのが当たり前になっているが、その3人が3人とも150㎞超ということが珍しくない。

この球速インフレの原因はなんだろう。
ぱっといくつか思いつくが、例えば、
・トレーニング法が変わったこと(効果的なウエートトレーニングなど)
・選手の大型化が進んだこと
・速い球を投げるために必要とされるものの研究が進んだこと(必要な筋力やフォームなど)
といったところだろうか。
つまり、速い球を投げられる環境が整ってきたと言えるだろうか。

YouTubeにも、「速い球を投げるために」役立ちそうなビデオがいくつもある。
投げ方を解説したビデオや、
速い球を投げる投手のフォームをじっくり撮ったものなど。

以前は、
「投手は走れ」
「足腰を鍛えれば、自然に球は速くなる」
「肘を前に出して、腕をしならせろ」
「綺麗な縦回転のボールを投げろ」
といった指導が繰り返され、
「なぜそうするべきなのか」
「そうするためにはどうしたらいいのか」
といったことがきちんと語られなかったように思う。
速い球を投げられるかどうかは天性の資質による、
と信じられていたようにも思う。
今は、アメリカの最新理論や、国内のいろいろな人の知見が加わり、
速い球を投げるノウハウがかなり蓄積されている。

私もこの波に乗っていこう。
昔なら、50歳を超えた素人が120㎞を出すと言えば、まずまず大したことだった。
しかし、今ならそんなに特別なことではない気がする。
球速インフレの波が私にも届きますように。

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景気ウォッチャー調査の「読まれ方」で思う [経済を眺める楽しみ]

内閣府が発表した6月の景気ウォッチャー調査について、各紙が報じている。
調査結果のポイントは、
・現状判断指数(季節調整値)が前月より23.3ポイント高い38.8となった
・今回の上昇幅は、比較可能な2002年1月以降で最大
・38.8という数字は、新型コロナウイルスの感染拡大前の今年1月(41・9)に近い水準
といったところである。
景気ウォッチャー調査は、
全国の商店主やタクシー運転手など、景気に敏感な職業の人に景況感を尋ねていることから、
「街角の景況感は持ち直している」とまとめられている。

過去最高の上昇幅とは言っても、5月が低過ぎただけであり(4月はもっと低かったが)、
底から持ち直しているに過ぎない。
ただ、そうだとしてもかなりの回復ぶりである。。
マスコミに取り上げられるのは厳しい状況だけだが、街角景気的には、
持ち直しの動きもみられるのかもしれない。

この景気ウォッチャー調査に限らず、統計にはいろいろな癖がある。
それらを理解しつつ、
結果は結果として、まずはきちんと受け入れることが大切だと思う。
しかし、主にネットにおられる方は、かなりうがった見方をされることが多い。
今回の記事についてのコメントを読むと、「おや?」と感じてしまう。
例えばこんなことが書かれている。

「こんな調査結果に何の意味があるのか」
「景気が良くなるというニュースを見ると、税金を取られることばかり感じてしまう」
「景気をよく見せようとする無理筋なニュースにうんざり」
「現状と結果が違い過ぎる」
「どこでどんなふうに聴けばこんな結果が出るのか」
「なんのプロパガンダだ」
などなど。

報じられている内容を鵜呑みにせず、ニュースを批判的に見ることは必要なことだと思うが、
・自分の感覚と違うことはすべて嘘だと思う、
・どんなことにも陰謀を疑う、
・いい情報は信じない、
となってしまうと、世の中を正しく見られなくなってしまう。
ネットにおられる方からすれば、
正しいってなんだ、となるかもしれないし、
そもそも正しく見たいという欲求もないのかもしれないが、
当たり前のことだが、正しく見た方が何かにつけていいと思う。

自分の現状やこれまで立ててきた推論と公表された内容が食い違っていると、
どうしても受け入れがたくなくなる。
それは自然なことだが、だからといって頭から否定しては正しいものに近づけない。
「そんなはずはない」
と感じたときこそ、はねつけないで、まずはしっかり受け止めたい。

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少子化対策について改めて考えるきっかけに ~ 「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」を読んで ~ [読書記録]

山田昌弘さんが書かれた
「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」
を読んだ。
山田さんは、著名な社会学者で、中央大学文学部教授。
「パラサイト・シングル」や「婚活」といった言葉を普及させたことでも知られている。

この本で山田教授は、日本の少子化対策について以下のような問題があったと主張されている。
それは、
・少子化問題の原因を欧米と同一視したこと
・一部の人の声や意識を、多数と間違ってきたこと
・少子化の主因は未婚化であることを見逃したこと
・結婚や子育ての経済的側面をタブーにしてきたこと
・「仕事は女性の自己実現だ」という認識にとらわれ過ぎてきたこと
・強い子育てプレッシャーをやわらげられていないこと
などである。

官僚や政治家が、
日本とは環境も考え方も歴史も違う欧米を参考にし、
自分の周りにいる「都会に住む高学歴の女性」の声を女性一般の意見と考え、
立案してきた政策が的を外してきた、というのである。

「デフレの正体」などで知られる藻谷浩介さんは別の本で、
「女性の一部ではありますが、本当は子どもが3~4人欲しい人もいるのです。だけど2人が経済的に限界なので、その先はあきらめることが多い。それが日本の出生率が2を切ってしまっている唯一最大の理由です」
と述べておられる。
つまり藻谷さんが考える少子化の原因は、結婚している人が望むだけの人数を生み育てられていないことのようだ。
唯一最大の理由、とまでおっしゃっている。
一方山田教授は、データを示しつつ、夫婦当たりの子どもの数は1970年代も2000年代も2前後で変化がなく、出生率が下がっている理由は未婚者の増加であるとする。
藻谷さんの主張とは全く異なっていることがわかる。

働く女性が増えている状況から、保育施設の必要性が高まっている。
この点への異論は少ないと思う。
しかし、保育施設を増やすことが少子化対策につながるかどうかという点については、冷静に考える必要がある。
山田教授の意見からすれば、
保育施設の必要性は認めるとして、
少子化対策事業はもっと別なことをするべきではないか、ということになる。

日本の少子化対策は、ずっと成功してこなかった。
この本の帯には、
「失われた30年。もう、戻ってこない」
とある。
確かに、失われたものはもう戻ってこない。
しかし、これから変えていけばいい。
まずは事実をしっかり分析すること、
間違っていた政策があったらそれを改めること。
あきらめるのは早いし、あきらめていい政策ではない。

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映画評 「一度も撃ってません」 ~ この映画、好きです ~ [映画評]

本作は、名脇役として知られる石橋蓮司さんが主演を務めるハードボイルド。
コメディ要素も満載だし、タイトルからしてハードボイルドではないのだが、
形だけのハードボイルドよりずっとハードボイルドである。
(ここまででハードボイルドという言葉を4回も使った。普段はほとんど使わない言葉だが。)

石橋蓮司さんが演じられるのは、売れない小説家。
しかし、書いている原稿のうち、殺人の描写がやたらと微に入り細を穿っていて、
実は伝説の殺し屋ではないかと言われている。
石橋さんの友人役で、深い夜の街で絡むのが岸部一徳さんと桃井かおりさん。
特別こうしたベテラン俳優の皆さんに思い入れがあるわけではないが、
実にいい雰囲気を醸し出されていた。
好きな人にはたまらんだろう。
いつまでも観ていられる感じ。
実に絵になる。
大楠道代さん演じる石橋さんの奥さんだけはまともな人間として描かれているが、
この映画の世界ではまともであることは違和感になる。

その他、
佐藤浩市さん、豊川悦司さん、江口洋介さん、妻夫木聡さん、井上真央さんといった主演級の皆さんが小さな役で絡む。
柄本親子も。
通常、こうしたスター総出演的な映画は、見せ場をちょくちょく作るがゆえに散漫な印象になるのだが、
本作では皆がいい感じに演じていて楽しく観られる。
豊川悦司さん演じる殺し屋の描き方に賛否はあるだろうが、あれはあれで。
プロレスラー新崎人生さん演じる酒場のマスターもよかった。

本作のHPを見ると、こんなことが書いてある。
『人生最期の究極の「こだわり」を“かっこいい”とするか“悪あがき”と呼ぶか――。
いまだ青春時代を忘れられない大人たちの、“おかしみ”と“愛らしさ”たっぷりな“ハード(ト)ボイルドコメディ』

これを読むと、昔はよかった、的なノスタルジックな作品と思われるかもしれないが、
そんなことはない。
登場人物たちは、最前線で闘っている。
だからこそおかしいし、馬鹿馬鹿しいし、かっこいい。

メガホンは、阪本順治監督。
巨匠、という表現はあまり似合わないが、日本を代表する映画監督の一人であろう。
阪本監督作品ということで、とんがった映画を期待されている人には、ひょっとしたら肩すかしかもしれない。
ヒリヒリした緊張感、といったものはない。
しかし、実に芳醇な時間を感じることができた。
「この映画好きだなあ」
と思いながら観ていた。

ちょっとどうかと思うのはタイトル。
言わなくてもいいことだと思うし、
映画のムードにも合っていない。
そこだけ、少し残念。

「一度も撃ってません」は、実に楽しい映画。
大人向きではあるが、若い人にもぜひ観てもらいたい。
きっと楽しんでもらえると思う。
大人の辛さ、切なさ、いたたまれなさ、カッコよさを味わえる。
できれば、シネコンではなく、
新宿なら武蔵野館、池袋ならロサみたいなところで観ると、
一層よろしいかと思う。

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古書店から便りとともに本が届いた ~ サタデーブックス@西所沢の冒険が始まった ~ [読書記録]

家に帰ると、小さな包みが届いていた。
「あれ、なんかamazonで買ったっけ?」
と思いながらしばらくうっちゃって、夕刊なんぞを読んでいた。
でもやっぱ心当たりないなあ、と改めて包みを見ると、
サタデーブックスというところから本が届いたのだった。

サタデーブックスとは、埼玉県所沢市は西所沢にオープンした古書店。
その名のとおり、土曜日と、それから日曜日に開く。
週二日でやっていけるのかしら、と心配になるが、
“地域の編集拠点"としての役割を果たすことも目指されていて、
平日は事務所として機能するらしい。

サタデーブックスが進もうとされている道のりは、冒険と呼ぶにふさわしいものだと思う。
冒険にはわくわくする要素が満ちているが、
順風満帆に進むばかりでもないだろう。
さらにコロナ禍での立ち上げ、という厳しい船出にもなっている。
よき旅になることを祈りたい。

届いたのは、
西村佳哲さんの『自分をいかして生きる』という本と、
サタデーブックスからの便り。
便りには、
本の紹介のほか、
サタデーブックスでどんなことができ、どんなことを目指しているのか、
といったこともしたためられてあった。
手書きのぬくもりのある文字とともに。

さて、著者の西村さんは「働き方研究家」を称されていて、
この本でも、いい仕事、いい働き方、について考えておられる。
いろいろな方向に思考を巡らせられるが、押しつけがましさはない。
ひたすら思索を深められているという感じであり、
読んでいるとこちらも自然と考えるようになる。
読み進めていくうちにズンズン頭に知識が入ってくるというものではなく、
ゆっくり何かが積み重なっていく感じである。

働き出してしまうと、
考えなくても、悩まなくても、日々は流れていく。
考えたから、悩んだからといって答えが出るわけではないし、
答えが出たと思っても、それで活路が開けるとは限らない。
しかし、それでも考えたい、悩みたい。
この本は、そんな一人一人の思いをそっと後押ししてくれる。

また来月、便りとともに本が届く。
サタデーブックス@西所沢の冒険に思いをはせながら、その日を待とう。

saturdaybooks.jpg

サタデーブックスのホームページはこちら
https://west-saitama.jp/saturdaybooks/
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映画評 「のぼる小寺さん」 [映画評]

今年は、伊藤健太郎くんの年になる。
これは予言ではなく、確実にそうなる。
本作に続き、
「今日から俺は!!劇場版」
「弱虫ペダル」
「宇宙でいちばんあかるい屋根」
と出演作が目白押しだからである。
「惡の華」以来、気になる俳優さんなので、活躍してくれることはうれしい。
ただ、映画会社も同じ俳優ばかり使わず、ちょっとは考えてほしいという気にはなる。
(「今日から俺は」と「弱虫ペダル」では、橋本環奈ちゃんとの共演までダブる。)

「のぼる小寺さん」の原作はコミック。
ボルダリングに夢中な女子高生と周囲の若者たちを描いた学園青春もの。
主人公の小寺さんを元モーニング娘。の工藤遥さんが演じ、
伊藤健太郎くんは小寺さんに魅かれていく同級生役。
小寺さんを見るまで、ぼんやり生きてきた。
ほかにも女子が2人、男子が1人、小寺さんに魅かれて変わっていく。

そんな周りの人を魅了していくのだから、小寺さんがとんでもなく魅力的に描かれなければならない。
そうでないと観ている側に説得力が伝わらない。
そして残念ながら、魅力は十分に伝われなかった。
小寺さんがボルダリングに一所懸命なのはわかるが、
部活に懸命に取り組んでいる人なら、どこの学校にもかなりの数いるだろう。
実際、この映画の中にも何人かいた。
なぜ小寺さんがそんなに人を惹きつけるのか、十分には伝わってこなかった。
演出、脚本とも不十分だったと思う。

小寺さんに魅かれる4人の描き方も、いかにもステレオタイプ。
こちらのエピソードにも、ピンと来るところはほとんどなかった。

学園もの、青春もの、スポーツもの、は私の大好物である。
コミック原作の映画化が成功する例は多くないが、期待して観に行った。
しかし、残念。

枝葉の部分だが、個人的に許せなかったのは伊藤健太郎くんの卓球の県大会でのシーン。
とてもではないが、高校生の大会レベルには見えない拙さだった。
ほぼ初心者。
あれでよしとする監督、スタッフ、映画会社の姿勢は、さてはてどうなのだろう。
誰もなんとも思わないのだろうか。
だとしたら、どこかマヒしている。
もっと出演者にとことん練習させるか、それがものにならないのなら吹き替えを使うか、
今時ならCGを使うか。
どれも面倒くさいのなら、そんなシーンを撮らなければいい。
監督さん以下、映画に携わっている方々の覚悟の薄さのようなものがほの見え、
とても嫌な気持ちになった。

作品全体を漠然と見れば、
恋あり、友情あり、スポーツあり、文化祭あり、
で、楽しく観られなくもない。
さわやかな青春映画であると受け取れなくもない。
実際、日経夕刊の映画評では★4つだった。
評者は、私が全く納得できなかったラストシーンにキュンとされたらしい。
そりゃ驚いた。

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「埼玉銘柄」の上昇は続くか [経済を眺める楽しみ]

日本経済新聞の株式欄に。
「埼玉銘柄」のパフォーマンスがいい、
といった記事が掲載されていた。

京セラ、島津製作所、任天堂、日本電産といったメジャーどころが並ぶ、
「京都銘柄」という言葉は聞いたことがあるが、
「埼玉銘柄」は初耳。

日経の記事によると、
東京に通勤する「埼玉都民」がテレワークに移行することで地元での消費が増え、
それが埼玉の企業に追い風になると見られているらしい。
代表として挙げられていたのは、
ベルク 9974
スーパーバリュー 3094
ケイアイスター不動産 3465
といった銘柄。
確かにどちらも、3月の底から強烈なリバウンドをしている。

そのほかに埼玉銘柄というと、
しまむら 8227
も浮かぶが、こちらはちょっと苦戦しているようだ。
ヤオコー 8279
は快走を続けている。

埼玉以外にお住いの方はあまりご存じないかもしれないが、
ベルク、ヤオコーといった会社は埼玉発祥のスーパー。
かつてのダイエーのように、ファッションやら家電やらなんでも揃う店ではなく、
基本的に食料品に特化して成長してきた。
埼玉は人口が増え続けていて、まだ出店余地もある。
県内回帰が進むようなら、さらなる成長も期待できそうである。

本社が東京にある企業が圧倒的に多いが、これ以上集中するとそれでは多様性がなくなるばかりか、
一極集中のリスクも高まる。
アメリカや中国のように、政治の中心地とは別に経済の拠点がいくつもある方が、きっと強くなれる。
埼玉では東京に近過ぎるが、それでも東京ではない。
地方の企業がさらに力をつけていくようになれば、コロナ禍の中で生まれる希望になるかもしれない。

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ここのところの読書記録 [読書記録]

ここのところで読んだ本30冊は、以下のとおり。

「ライフトラベラー」 喜多川 泰
「日本列島回復論」 井上 岳一
「リーダーを目指す人の心得」 コリン・パウエル
「調べる技術・書く技術」 野村 進
「小江戸と城下町の歴史さんぽ旅」
「なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか」 藤巻 健史
「裸でも生きる」 山口 絵理子(再再読かな)
「伝わっているか?」 小西 利行
「アメリカ大統領選勝負の分かれ目」 大石 格
「シンプルに考える」 森川 亮
「終わった人」 内館 牧子
「食肉の帝王」 溝口 敦
「生きていた光秀」 井上 慶雪
「今日の風、なに色」 辻井 いつ子
「シリコンバレー式自分を変える最強の食事」 デイヴ・アスプリー
「これからの地方自治の教科書」 大森 彌、大杉 覚
「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口 幸治
「御社の新規事業はなぜ失敗するのか」 田所 雅之
「水曜の朝、午前三時」 蓮見 圭一
「ドキュメント 戦争広告代理店」 高木 徹
「一番やさしい地方公務員制度の本」 圓上 和之
「日本一おかしな公務員」 山田 崇
「ようこそ地方自治法」 板垣 勝彦
「サイゴンから来た妻と娘」 近藤 紘一
「同時通訳者のここだけの話」 関根 マイク
「王様の速読術」 斉藤 英治
「世の中のことがわかる数学の雑学」 柳谷 晃
「生きつづける言葉」 平尾 誠二
「SPRINT 最速仕事術」 ジェイク・ナップ
「こんな起業をやってみないか」 堀部 伸孝

「シンプルに考える」を書かれた森川亮さんは、LINEの元代表取締役社長。この本では、森川さん流の仕事の流儀が書かれている。動きの速いIT企業のみならず、すべての職場で参考になる一冊。

「日本一おかしな公務員」を書かれた山田崇さんは塩尻市役所の職員。タイトルとは裏腹に、と言うべきか、しっかりした内容の本。仕事の進め方もがっちり地に足がついている。すごい同業者がいるものだ、と感じさせられる一冊。

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来年の年俸はさておき ~ 2020年プロ野球選手の年俸は過去最高 ~ [ヨモヤ]

労組日本プロ野球選手会が、今季の日本人選手の年俸調査結果を発表した。
それによると、年俸総額は前年比4・5%増の約304億5千万円となり、これは過去最高であるという。
平均年俸も初めて4,000万円を超えて4,189万円となった。
これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれだと思う。
私は高いとは思わない。
平均で4,000万円となると、夢を売る職業として少しは胸を張れる数字と言えるかもしれない。
ただ、メジャーリーグの平均年俸は4億4,000万円だというから、これと比べると10分の1ではある。

球団別のトップはソフトバンクで、以下、巨人、楽天、広島と続く。
当然ながら、チームの成績がいいと年俸も上がる。
ソフトバンクと巨人は去年の日本シリーズを戦ったチームだし、
広島は2019年まで3連覇した効果が大きいのだろう。
そこからすると、楽天はコストパフォーマンスがあまりよくないといえるかもしれないが、
これはFAで高給の選手を獲得したことによるところが大きい。
今年活躍して、チームを勝利に導けば、元は取れることになる。

さて、メジャーリーグは年俸の調整がつかず、開幕がズルズルと遅れてしまった。
一方日本のプロ野球では、
不測の事態などが発生した場合に年俸を減額する条項や記載がないため、
球団側が今季の年俸カットなどを選手会に求めなかった経緯がある。
このことが、比較的早期に開幕にこぎつけられた要因の一つとなっているが、
来期の年俸はどうなるだろう。

試合数が減り、観客動員にも大きな制限がかけられるなか、
球団経営が厳しくなることは誰の目にも明らかである。
採算が合わなくなった場合、人件費の見直しに目が向くのは当然のことだろう。

ただし、今はそのことを考える時期ではない。
選手は、全力でプレーして、いい試合を続けることに集中してほしい。
球団は、全力で運営を支えてほしい。
そして、やっぱりプロ野球はいいな、としみじみ振り返れるシーズンにしていただきたい。
先のことは、先のことである。

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