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映画評 「のぼる小寺さん」 [映画評]

今年は、伊藤健太郎くんの年になる。
これは予言ではなく、確実にそうなる。
本作に続き、
「今日から俺は!!劇場版」
「弱虫ペダル」
「宇宙でいちばんあかるい屋根」
と出演作が目白押しだからである。
「惡の華」以来、気になる俳優さんなので、活躍してくれることはうれしい。
ただ、映画会社も同じ俳優ばかり使わず、ちょっとは考えてほしいという気にはなる。
(「今日から俺は」と「弱虫ペダル」では、橋本環奈ちゃんとの共演までダブる。)

「のぼる小寺さん」の原作はコミック。
ボルダリングに夢中な女子高生と周囲の若者たちを描いた学園青春もの。
主人公の小寺さんを元モーニング娘。の工藤遥さんが演じ、
伊藤健太郎くんは小寺さんに魅かれていく同級生役。
小寺さんを見るまで、ぼんやり生きてきた。
ほかにも女子が2人、男子が1人、小寺さんに魅かれて変わっていく。

そんな周りの人を魅了していくのだから、小寺さんがとんでもなく魅力的に描かれなければならない。
そうでないと観ている側に説得力が伝わらない。
そして残念ながら、魅力は十分に伝われなかった。
小寺さんがボルダリングに一所懸命なのはわかるが、
部活に懸命に取り組んでいる人なら、どこの学校にもかなりの数いるだろう。
実際、この映画の中にも何人かいた。
なぜ小寺さんがそんなに人を惹きつけるのか、十分には伝わってこなかった。
演出、脚本とも不十分だったと思う。

小寺さんに魅かれる4人の描き方も、いかにもステレオタイプ。
こちらのエピソードにも、ピンと来るところはほとんどなかった。

学園もの、青春もの、スポーツもの、は私の大好物である。
コミック原作の映画化が成功する例は多くないが、期待して観に行った。
しかし、残念。

枝葉の部分だが、個人的に許せなかったのは伊藤健太郎くんの卓球の県大会でのシーン。
とてもではないが、高校生の大会レベルには見えない拙さだった。
ほぼ初心者。
あれでよしとする監督、スタッフ、映画会社の姿勢は、さてはてどうなのだろう。
誰もなんとも思わないのだろうか。
だとしたら、どこかマヒしている。
もっと出演者にとことん練習させるか、それがものにならないのなら吹き替えを使うか、
今時ならCGを使うか。
どれも面倒くさいのなら、そんなシーンを撮らなければいい。
監督さん以下、映画に携わっている方々の覚悟の薄さのようなものがほの見え、
とても嫌な気持ちになった。

作品全体を漠然と見れば、
恋あり、友情あり、スポーツあり、文化祭あり、
で、楽しく観られなくもない。
さわやかな青春映画であると受け取れなくもない。
実際、日経夕刊の映画評では★4つだった。
評者は、私が全く納得できなかったラストシーンにキュンとされたらしい。
そりゃ驚いた。

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