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映画評 「水曜日が消えた」 [映画評]

中村倫也くん主演のSF系ドラマ。
中村くんの映画では「屍人荘の殺人」を楽しみにしていたが、思いのほか出番が少なかった。
打って変わって、本作では出ずっぱり。
中村くんファンなら大いに満足できるのではないだろうか。

前情報を仕入れずに観に行ったので、
「永遠に火曜日を繰り返すとか、そんな話でしょ」
と思ったのだが、そうではなかった。
映画でも徐々に意味が明らかになってきて、はっきりしたときに画面にタイトルがどんと出た。
あ、そういうことか、と思った。
公式HPにあらすじが掲載されていて、そこには「水曜日が消えた」の意味も書かれているのだが、
これから観に行かれる場合、読まない方が楽しめると思う。

近頃、タイムスリップ系の話がやたらと映画化されるが、
本作はそれらに比べればありえそうな話。
ただ、主人公がそうした状況になるきっかけとなった事故のシーンが何度も何度も映されるのは興ざめ。
印象的なシーンでも、オリジナリティのある映像でもなく。

今作のように設定にかなりの飛躍のある映画では、どうしてもツッコミどころが満載になる。
そして、「んな奴あ、いないよ」という展開になり、興味が失せていくことが少なくない。
その点、本作は最後まで楽しむことができた。
ワクワクドキドキが止まらない、
とまではいかなかったが、楽しく観られた。
それは結構大したことである。
映画としてしっかり成立させたのは、脚本も担当された吉野耕平監督の手腕によるところが大きい。
くどい演出や、盛り上げ不足もあるが、難しすぎる設定を成り立たせていた。
次回作にも注目したい。

主演は、最初に書いたとおり中村倫也くん。
完全に彼のための映画であり、期待に応える演技を見せている。
いろいろな姿が見られるのも、ファンにはうれしいだろう。
お相手は、石橋菜津美さんと深川麻衣さん。
大変失礼ながら、お二人ともそこまで飛び抜けて美しいわけではないので、それがリアリティを高めていた。

「水曜日が消えた」は中村倫也くんを楽しむ映画。
そう思ってみれば、十分満足できる。
サスペンスとか、知的興奮とかを求めると、ううん、もう一押し、だが。

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