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アメリカ 4-6月GDP 年率マイナス32.9% 私たちは世界史に残る日々を生きている [経済を眺める楽しみ]

アメリカ商務省が4月から6月までのGDP伸び率の速報値を発表した。
コロナ禍において、マイナスになることは予想されていたが、
その数字は年率換算の実質で、マイナス32.9%。
史上空前のマイナス幅となった。

このマイナス幅は、第2次世界大戦後の1947年以降で最悪の水準というが、
他に比較できるようなレベルがないほどの落ち込みである。
オイルショックも、ブラックマンデーも、
今回の落ち込みからすればかわいいものだったと言わざるを得ない。
100年に一度の危機と言われ、惨憺たる経済状況だったリーマンショック時でさえ、
マイナス8%台だったのだから、今回の落ち込みのすさまじさがわかる。

項目別に見ると、
個人消費がマイナス35%、
設備投資がマイナス27%、
輸出がマイナス64%。
まさに総崩れである。
アメリカでは、感染拡大が今も続いていることから、
景気回復の遅れも心配されている。

もちろん、4-6月期が落ち込むのは、アメリカだけではない。
日本もヨーロッパも、
さらには新興国も落ち込みが避けられない。
日本にいるとあまり実感がわかないが、GDPは成長して当たり前だから、
普段なら少しでもマイナスになれば大騒ぎになる。
それが二けたを超えるマイナスなのだから、それも世界中でなのだから、途方もない話である。
まさに、世界の歴史に残る日々だと思う。

時間はかかるだろうが、必ず世界経済は立ち直る。
しかし、元の姿に戻るかどうかはなんとも言えない。
経済規模は戻っても、姿かたちは違うものになるかもしれない。
ただ、たとえ違ったとしても、痛みが大きかったからこそ、
以前より素晴らしい姿になりたいものである。
そしてそうなれるかどうかは、今の危機の時期をどう過ごすかにかかっているのだと思う。
危機の時こそ、国力が試される。

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緊急事態宣言は出ない 一人一人がどうするか [ヨモヤ]

7月29日、新たに確認された新型コロナウイルスの感染者が初めて1,000人を超えた。
いや、1,000人超えどころか1,253人。
日本は、先進国の中では異例ともいえる感染者の少なさだったが、ここに来て急増している。
先日、延べの感染者数が30,000人を突破したが、
1日の感染者数が1,000人を超えてさらに増えていくと、
1週間ほどでさらに10,000人上乗せされることになる。
10万人くらいまではあっという間に行きそうだ。

この事態を見て、
ネットでは緊急事態宣言を再度出すべき、との意見があるが、政府は否定している。
私も、よほどのことがあっても再度発令されることはないだろうと思う。
それは経済を痛めつけることを避けるためだけではなく、
実効性があまりないからである。
そのことは、前回の宣言で、ほとんど証明されている。

いや、宣言中の2か月間で感染者は劇的に減ったではないか、
との意見があるだろう。
そのとおりである。
社会・経済をビタッと止めれば、一時的に感染者数は減る。
しかし、一時的にゼロ近辺にまで抑え込んでも、緩めたらあっという間に増えてしまうことを、
今回実証してしまった。
これでは意味がない。

ワクチンや有効な治療薬が開発されるまで経済を止めるべき、という意見もあるのかもしれない。
しかし、ワクチンが実用化されるのがいつになるかわからないし、
コロナ以外で大きなダメージを受ける人が多過ぎるだろう。

そうなってほしくはないが、1日1,200人がピークではないと思う。
参考に他国を見ると、
アメリカでは、1日50,000人以上感染している。
それは極端としても、比較的うまく抑え込めているカナダでも、
現段階で1日500~600人が感染している。(ピーク時は1日に2,800人)
カナダの人口は日本の3分の1以下だから、
そこから考えると日本でも2,000人くらいまでは行くのではないだろうか。
さすがにそれ以上増えていくことは避けたいものだが。

私たちが戦う相手はウイルスである。
政府ではないし、ましてや不幸にも感染された方ではない。
誰かを貶めるために力を使うより、
正しい情報を仕入れて、適切な行動をとりたい。
家にこもるのではなく、人間らしく暮らす知恵を使いたい。

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映画評 「コンフィデンスマンJP プリンセス編」 [映画評]

フジテレビ系列で放送されたドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版シリーズ第2弾。
第1作目がかなりの当たりを取ったので、当然の流れで2匹目のどじょうを狙う。
ドラマの映画化、しかも続編と、企画に目新しさはまったくなく、
テレビ番組の映画化らしくスター総出演で、
オチも予想がつきまくりだが、なんであれ面白ければいい。
そして、これが意外と楽しめた。

やはりよくできているのは古沢良太さんの脚本。
いろいろな伏線を張り、それをしっかり回収していたのはさすが。
古沢さんの脚本では「探偵はBARにいる」シリーズも楽しめたので、私と相性がいいのかもしれない。
もちろんいい脚本をしっかり映像化した田中亮監督の手腕も立派。

長澤まさみさん、東出昌大さん、小手伸也さん、小日向文世さんのコンビネーションが小気味いい。
どう転んだとしても意外性はないが安心して観ていられる。
本作では、関水渚さんも大活躍で、実質的な主役は彼女。
去年公開された「町田くんの世界」以来、順調に階段を上っている。
竹内結子さん、江口洋介さん、広末涼子さん、濱田岳さん、ビビアン・スーさんなど、
豪華俳優陣が脇を固める。
三浦春馬さんがおちゃらけた役で出演されているのは痛々しい。

今回の舞台はシンガポール。
映画らしいスケールの大きさで、マレーシアや香港にも話は広がる。
ドラマが映画化されると、使い慣れないお金と時間を持ってしまったためか、
無駄なロケや爆破シーンで映画自体が取っ散らかってしまうことが多いが(例:おっさんずラブ)、
本作は意味のある場面をきちんと重ねている。
コメディ作品であり、現実味は薄いのだが、納得させる力がある。
デヴィ夫人のシーンがおかしいので最後までお見逃しなく。

「コンフィデンスマンJP プリンセス編」は、誰もが楽しめる娯楽作。
期待以上ではないが、期待どおり。
それってすごいこと。
夏休み、なんか映画でも観に行こうかなあ、という方は本作でOKかと。
「今日から俺は!!」も十分楽しいが、こちらはちょっと若い人向けに寄っているので。

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160キロを出した西武ライオンズの平良くんに学ぶ [55歳125キロプロジェクト]

開幕から9イニング連続で無安打ピッチングを続けた西武の平良(以下、敬称略で)。
連続ノーヒット記録が断たれた試合で160キロを出した。
160キロを記録した日本人投手は6人目となる。
160キロクラブの面々は以下のとおり。

1 165キロ 大谷翔平(日本ハム)
2 161キロ 由規(ヤクルト)
2 161キロ 千賀滉大(ソフトバンク)
2 161キロ 国吉佑樹(DeNA)
5 160キロ 藤浪晋太郎(阪神)
5 160キロ 平良海馬(西武)

6人のうち、平良が173㎝で最も上背がない。
次が由規の179㎝で、それ以外は、
大谷193㎝m、千賀186㎝、国吉196㎝、藤波197㎝と、
ビッグサイズの投手ばかりである。

ほとんどのスポーツで身体が大きい方が有利だが、
野球で速い球を投げるにも、やはり背が高い方がいい。
その方が筋肉量も多くなるし、
腕が動く範囲も広くなるのだから当然である。

そんななかで、170㎝そこそこの平良の160キロは光る。
身体が大きくない人間(例えば私のような)が速い球を投げようとするときに、大いに参考になりそうだ。

平良のフォームを見てみよう。
平良だけが救援投手ということもあるが、
160キロを出した他の投手のフォームと比べると、足をほとんど上げないのが特徴である。
大谷や千賀のように足をしっかり上げ、一度軸足に体重を乗せ、
そこから体重を移動させていく形ではなく、
平良の場合はいきなりどーんと前に身体ごと持っていく。
やや丸っこい体型にこのフォームが合うのだろうか。
平良がゆっくり足を上げている様は、ちょっと想像しにくい。

ステップをグワンと広く取り、
腕の可動域を広げている。
そして、えいやっと投げ込む。

ためなどはない。
一気に投げ込む。

私は、55歳の腰痛持ちが125キロを出すという、馬鹿げた挑戦を行っている。
今さら筋力はそう上がらないので、フォームが大事である。
かといって、自分が平良のように力感あふれるフォームで投げられるとも思えないが、
足を上げずに一気に投げ込む、というのは試みてみたい。
ガンガン投げ込みができるわけではない私に向いているかもしれない。

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映画評 「ステップ」 [映画評]

妻に先立たれた主人公が、男手一つで娘を育てる10年間の軌跡を描く。
数多くの作品が映画化されている重松清さんの小説が原作。

子育てはなかなか大変だが、
父子家庭、母子家庭となるとなおさら。
本作でも主人公は悪戦苦闘をするのだが、
一般的な目線で見ると、かなり恵まれた状況と言えなくもない。
しっかりした定職があり、金銭的な不安はなさそうであるし、
4時に帰れるようにはからってもらえてもいるからである。
周りの人たちも好意的に見守ってくれている。
もちろんそれでも大変は大変だろうが、
特別に頑張ったとして映画化されるような存在ではない。
普通の人の普通の暮らしにスポットを当てる重松作品らしいと言えようか。

タイトルの「ステップ」には、
父と娘がすこしずつ段階を踏んで成長していくという意味のほかに、
英語で言うステップ・ファザー、ステップ・マザーの要素が含まれている。
義母義父継父継母の存在が、この作品のみそと言っていいだろう。

泣かせどころ満載の映画で、
すぐ泣いてしまう、という人は複数回泣くのではないだろうか。
そういう映画が好きな人にはおススメ。
腹黒い人、意地悪な人も出てこないので、安心して観られる。
映画とすると、もう一押し二押し欲しいところではあったが。

主演は、山田孝之さん。
俳優を超えた特異な存在になっておられるが、本作では真面目一本。
義父役の國村隼さんがいい。
タイトルからしても、裏の主役はこちらかもしれない。
東京03の角田晃広さんも出演。
角田さんは半沢にも出ておられて、少し役者づいておられるのだろうか。
監督は飯塚健さん。
同監督の作品では、長野オリンピックのテストジャンパーを描いた「ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜」が公開延期になっているが、無事に公開されることを祈りたい。

「ステップ」は、おだやかな気持ちになれる映画。
実際に苦労されているひとり親の方からは、「甘すぎる」という声も上がるかもしれないが、
厳しい姿を描くことを目的化することもない。
心安らかに観て、
改めて周りの人への感謝の気持ちを思い出すのもいいものだろう。

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筒香、秋山の幸先のいいメジャーデビューに拍手 [ヨモヤ]

ようやくアメリカのメジャーリーグが開幕した。
3月開幕予定だったから、およそ4か月遅れということになる。
遅れた理由はもちろんコロナだが、オーナー側と選手会が金銭面で折り合わなかった点も大きい。
なんとか開幕にこぎつけて、さらなるファン離れはギリギリ防いだ格好だが、
60試合でシーズンと呼べるのかどうか。

今年がメジャー最初のシーズンとなる筒香と秋山も
まさかこんなことになるだろうとは思ってもいなかっただろう、
なにはともあれ、二人にとっても待ちに待った開幕となった。

秋山は相手投手が左ピッチャーということもあってベンチスタートだったが、
代打で出ていきなり初ヒット初打点。
筒香は3番で先発し、左ピッチャーから肩口に死球を受けた次の打席で初ホームラン。
二人とも、いいスタートになった。

このところ日本人野手の成功例が出ていないなか、
筒香と秋山の挑戦は意義があるものだと思う。
二人とも日本にいれば一流の座が確約されていたが、
アメリカに行けば試合に出られるかどうかさえ不確かになる存在だった。
筒香は長距離砲としてやれるかどうか疑問がある上に守備に不安があり、
秋山は守備力や走力は十分だが、パワーの面で心配された。
イチローや松井のように日本ではやり切った感があったり、
松坂や大谷のようにメジャーからラブコールを送られたわけでもない。
自分の意志で、あえてリスクを冒して高みを目指した。
頑張れ、と声援を送りたい。

優秀な選手がメジャーに流出し続けると、日本の野球のレベルが下がり、試合も面白くなくなる、
という人が少なからずいる。
もちろん、一流選手がいなくなるのは寂しいが、抜けた分、そのままレベルが下がるわけでもない。
筒香はDeNAの大黒柱だったが、今年は新4番の佐野がその穴をしっかり埋めている。
西武の秋山の穴は、現状埋め切れていないが、高卒4年目の鈴木将平が一番に定着しつつある。
誰かが出てくるものなのだ。

普段の年なら、ほとんど休みなしで160試合もの試合をこなし、移動の負担も大きいのだが、
今年は試合数も少ないし、移動も短め。
スタミナの心配をそれほどせず、まっすぐ走り切れそうだ。
筒香、秋山の奮戦を期待しよう。

大谷の二刀流、ダルビッシュの完全復活、マー君悲願のワールドチャンピオンなど、
その他の見どころも多い。
野球がある日常を思い切り楽しもう。

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こんな夏休みは今年だけになればいいが… ~ 使う予定の金額は近年最低とか ~ [ヨモヤ]

明治安田生命による毎年恒例の「夏に関するアンケート調査」が公表された。
それによると、今年の夏休みに使う予定の金額の平均額は「65,157円」であり、
これは2006年の調査開始以来、最低額であるらしい。
最も高かった2015年が約90,000円だったから、そこから比べるとかなりの減少幅である。

去年も減ったらしいが、去年はゴールデンウイークが10連休だったため、その反動という面があった。
今年は、春休みも自粛、ゴールデンウイークはステイホーム、
そして夏休みもひっそり、ということになりそうだ。
GO TO キャンペーンも、スタート前にかなりみそがついてしまったし、
4月5月の頃以上に感染者が増えている状況では、思い切り羽を伸ばす気にはなりにくい。

夏休みと言えば、
帰省、
お盆、
花火、
海、
夏祭り、
ひと夏の恋、
などなど、甘酸っぱい記憶で彩られる季節である。
なんとなく後ろめたく楽しむ夏休みは、今年っきりであってほしい。

この調査では、夏のボーナスの使い道についても併せて聞いている。
結果は、
預貯金 69.2%
趣味・レジャー 24.4%
旅行 19.1%
の順だった。
複数選択可だから、預貯金が7割近くを占めるのは当然かもしれない。
貯金が選ばれるというのは、
未来に不安はあるものの、
現在はお金を貯められる余裕があるということでもあると考えられなくもない。

今後、感染者数がさらに増えたとしても、
すぐに緊急事態宣言が出されるということはないだろう。
「政府は自粛を呼びかけるだけで具体的な措置を取っていない」
と批判する人もいるが、
経済社会活動を止めるより、
一人一人がそれぞれの持ち場でできることをする時期なのだと思う。

これまでに経験したことのない夏休みになるのは間違いない。
戸惑うのも自然なことである。
ただし、どういう夏休みを過ごすかは、それぞれが考えるしかない。
へんてこりんな夏休みだけれど、
いい夏休みになりますように。

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景気拡大は2018年10月まで  ~ 実感があってもなくても ~ [経済を眺める楽しみ]

各種報道によれば、
内閣府が2012年12月から始まった景気回復局面が18年10月に終わり、景気後退に入ったと認定する方針だとのことである。
この結果、拡大期間は71カ月にとどまり、
08年2月まで73カ月続いた「いざなみ景気」の戦後最長記録を更新しなかったことになる。
18年10月と言えば、もう2年近く前の話。
今ごろ、景気回復局面はそこまででしたと聞かされても、
「はあ」
としか思えないが、まあ、そういうことらしい。

こうした報道があると、必ず言われるのが、
「景気回復の実感など少しもなかった」
「企業が潤っただけで家計は一層苦しくなった」
といったことである。
確かに、この間の経済成長率は過去の景気回復期と比べるとかなり低めであり、
平均年1.1%程度で、景気動向指数の上昇幅は12.7ポイントだったそうだ。

ただし、率が低くても成長が続いたことは事実である。
そのことすらも統計上のことだけで、全く意味がなかったと言ってしまえばそれまでだが、
そう言ってしまうと本当にそれまでである。
統計上だけでも成長が続いたのだから、
なぜそういう結果が出たのか、
どういう企業に恩恵が行ったのか、
などなど、少し奥に入ってみたい。
実際にこの間に大幅に株価が上昇した企業も少なくないのだし。

お金なんか自分には関係ない、と超然として生きていくのなら問題ないが、
お金に強く関心を持っているのに関わらず、
こんな成長率に意味はないと切り捨てるのはもったいない。

また、たとえ率が低くても成長が続いたことは、
下がり続けるよりはよっぽどいい。
現実として税収も増えており、そのおかげで充実されたサービスも少なくないはずだ。

景気拡大局面が終わりを告げた2018年10月に何があったかと言えば、
米中摩擦が激化した時期と重なっている。
腰折れ加減だった景気に、
2019年10月の消費増税、
2020年2月以降のコロナショック、
とその後も冷や水がじゃんじゃんかけられた格好である。

しかし、景気は必ず循環する。
今は先が見えないが、いつかきっと回復する。
景気回復とかどうとか統計だけのことで意味がないと切り捨てず、何かに活かしていきたい。
何かに活かして初めて統計の意味が出るのだから。

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映画評 「許された子どもたち」 [映画評]

6月1日から、2館で上映が始まった本作。
口コミで反響が広がり、32館まで上映が拡大。
「カメラを止めるな!」的な流れだが、コメディだったカメ止めと対照的に、
こちらは徹底してシリアスな作品。
最初のシーンから最後まで緊張感が持続する。

映画のホームページには、
「罪を犯したにも関わらず許されてしまった子どもはその罪をどう受け止め、生きていくのか。
大人は罪を許された子どもと、どう向き合うのか。」
とある。
罪を犯した子どもは、小学生の頃には反対に激しいいじめを受けていた設定となっている。
彼をいじめていた相手も許されたのだろうか。

こうした映画では、最終的には救いのようなものが描かれる場合が多い。
罪を犯した子どもが悔い改めるとか、
かばってばかりだった過保護の親が目覚めるとか、
相手に許されるとか。
しかし、現実世界ではそうならないことも多いだろう。
罪を犯した者はかえって被害者を憎み、
被害者は被害者であるにかかわらず周りから疎まれる、といった具合に、
どんどんどんどん悪い方へ悪い方へと。
本作も、皆が底なしの奈落へ落ち込んでしまう。

昇華される方向へ進んだかと思えた流れが、
最後で無残に断ち切られる。
そして、ラストも実に後味が悪い。
監督がそうしようと意図したものであり、それは成功している。
撮ろうと思った題材を撮りたいように撮った感じがして好ましい。
映画の後味は苦過ぎるほどだが、
作り手の思いは伝わってきた。

ただ、途中、やや過剰と思われるシーンがある。
普通の子どもたちの残忍性を描く場面だが、
リアリティに欠ける感があって、少し残念だった。

出演しているのは、ほとんどが無名の若手俳優たち。
それが作品にリアリティを加えている。

いじめる側、いじめられる側、
いじめた側の保護者、いじめられた側の保護者、
という要素に加え、
ネットの暴力が加わって、さらに複雑さを増している。
本作では、警察にも、弁護士にも正義がない。
見たくないが見なければならない世界なのだろう。

「許された子どもたち」は、作り手の強い思いが伝わる作品。
この映画を好きな人も嫌いな人もいるだろうし、
評価する人も評価しない人もいるだろうが、
撮りたいものを撮ったという心意気は伝わる。
映画はそうありたい。

#許された子どもたち
公式HPはこちら
http://www.yurusaretakodomotachi.com/
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ゴーン被告が古巣の決算を「惨め」と言ったのだとしたら [ヨモヤ]

ロイター電がカルロス・ゴーン被告のコメントを伝えている。
仏紙ル・パリジャンのインタビューに答えたものらしい。
記事によれば、ゴーン被告はこんなことを話したという。
「個人的には、日産とルノーの決算は惨めだと感じる。
 両社は内向きになっている。
 両社の間にもはや経営の真の融合はなく、不信感が漂う」

ゴーン被告にもいろいろな思いがあるのだろう。
また、報道されているのは発言の一部だけであり、
通して聴いてみるとニュアンスが違うのかもしれない。
しかし、古巣の決算を「惨め」と評するのはどうか。

真に優れたリーダーであれば、
自分が抜けた後もしっかり経営が続くような仕組みを作っておくだろうし、
なにより後継者をきちんと育てるだろう。
もし日産・ルノーの決算が惨めなのだとしたら、
その批判はリーダーであったゴーン被告自身に向けられるような気がする。

ゴーン被告としては、裏切られて、追い出された会社なのだから、恨みつらみがあって当然である。
ただ、なぜそうしたことになったのだろう。
ゴーン被告からすれば、「逆恨み」「クーデター」ということかも知れないが、
そうした思いを部下に抱かせ、
また抱かせたことに気づかなかったというのもどうなのかと思う。
日産社内から、ゴーン被告をかばうような発言が漏れてきていないようにも感じる。

といって、ゴーン被告後の日産の経営陣がよい仕事をされていると評価される向きもほとんどなく、
うまくいっていないのは誰の目にも明らかである。
決算の責任がゴーン被告に帰するとするのはさすがに無理がある。
しかし、真のリーダーであれば、自分が抜けた後の結果を自分事と捉えるのではないだろうか。

もちろん、世話になっていた弁護士の方をはじめ、
いろいろな人に迷惑をかけて、
自分だけのためにこそこそ海外に逃亡された方が、
真のリーダーであるはずもないとは思うが。

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