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石田三成公のこと [ヨモヤ]

私は滋賀県彦根市生まれで、
佐和山小学校に通っていた。
佐和山、と聞いてピンと来る人は相当な歴史通。
そう、佐和山城の佐和山である。

「治部少に過たる物が二つあり 島の左近に佐和山の城」
という言葉が残っている。
治部少とは石田三成公のことであり、島の左近とは三成公の家臣だった島左近のこと。
佐和山城は三成公には不釣り合いなほどの名城だったと揶揄した言葉である。

石田三成公は、徹底的に、と言っていいくらい貶められてきた。
映画や小説では、
頭はいいが、
ケチで、
人望がなく、
戦に弱く、
将の器でない、
といった存在として描かれてきた。
私は滋賀県で育ったが、そうした三成像を否定するようなことは教えられなかった。
子ども心になんだか残念だった記憶がある。

歴史は勝者が書く、と言われる。
徳川家康に真っ向から楯突いた三成公は、
どうしようもない存在として伝えられ、
それが鵜呑みにされてきた。

しかし、近年になって、三成像が修正されつつある。
ベストセラーとなった「のぼうの城」では、強い美意識を持ち、生を謳歌する存在とされていた。
映画「関ケ原」でも、岡田准一さんが愚直かつ美しい武将として演じられた。

ここで読んだ今村翔吾さんの「八本目の槍」も、
修正された美しい三成像が描かれていた。
七本の掌編で構成された本で、
「賤ヶ岳七本槍」に数えられた面々の物語であった。
三成は七本に漏れた八本目の槍とされていて、七人と密接な関係を持っている。
少し三成が美化され過ぎている感はあるが、
小説としても面白いし、説得力もある。

今の若い人たちは、どんな三成像を持っているのだろう。
この本、ぜひ佐和山の子たちも読んでほしい。

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