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NISAをやれば自然に資産が増えるわけではない [経済を眺める楽しみ]

岸田首相が、ニューヨーク証券取引所で講演され、
時限措置のあるNISAについて「恒久化が必須だ」と表明された。
首相が外国での講演でおっしゃったのだから、この方向で進むのだろう。

現在のNISAには課題があるというか、課題だらけである。
日本の制度にはよくあることだが、
つぎはぎや細かな改正の積み重ねでなんだかわからなくなっている。
わかりやすい問題点は、
・期間限定のため、投資のタイミングが難しく、長期投資にも向いていない
・金融商品の入れ替えができず使い勝手が悪い
・他国と比べて、上限が低い
・NISAの種類がいくつもあってわかりにくい
などである。
今回の恒久化とそれに伴うもろもろの改正で、
わかりやすく使いやすい制度になるだろうか。

報道では、NISAについて
「新しい資本主義の柱」
とされていたりするのだが、NISAが柱ではあまりにも細い。
当たり前だが、NISAをやれば資産が増えるというわけでもなんでもないからだ。

NISAの利点は、金融商品から得られる利益が非課税になることだが、
逆に言えば、それだけのことである。
100万円をNISAに入れて120万円になった場合、
通常なら利益分の20万円から20%の税金を払わなければならないが、
NISAならそれがゼロになる。
ありがたいと言えばありがたいが、ただそれだけのことである。
NISAにお金を入れれば自然に増えていくわけではないし、
株価が下がったら何のメリットもない。

NISAが恒久化されること、
ややこしい仕組みがなくなること、は大いに歓迎である。
是非実現していただきたい。
遅過ぎるとは言えるけれど、直さないよりずっとずっといい。
しかし、それで新しい資本主義が到来するかというと、
そんなことがあるわけはない。

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