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稲盛さんがお亡くなりになられた [ヨモヤ]

京セラの創業者であり、KDDIの設立や日本航空の再建でも知られる稲盛和夫さんがお亡くなりになった。
老衰だという。
90歳。

数々の逸話をお持ちの稲盛さんだが、
通信事業に参入する際、
「通信事業を始めようとする動機は善なのか、そこに私心はないのか」
と自分自身に厳しく問い続けられたという話もよく知られる。
「経営の神様」
と呼ばれることもあるようだが、
お金もうけがうまい人というより、哲学者に近い空気をまとわれていた。

稲盛さんに関する話で、私が一番好きなのは次のお話し。
確か、稲盛さんの本に書いてあったと思う。
概略はこんな感じだった。

・・・・・
稲盛さんが駆け出しの経営者だった頃、すでに有名であった松下幸之助さんの講演を聞きに行かれた。
そこで松下さんは、
「経営と言うのは、ダムがいつも一定の水量で満たされているように、不況に備えお金も人も充分な蓄えを持って事業を経営していなければならない」
という、いわゆる「ダム式経営」について話されたそうだ。
質疑応答に移り、参加者の一人が、
「ダム式経営というが、うちには備えるためのお金なんかない。どうやって蓄えを作ればいいのか。こっちはその方法を聞きたくてここに来ている」
と質問した。
それに対する松下さんの答えは、
「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わんとあきまへんなあ」
というものだったそうだ。
これには聴衆から失笑が起き、「なんだそれは」と怒って帰ってしまう人もいたという。
しかし若き日の稲盛さんは違った。
「私は体に電流が走るような大きな衝撃を受けました。その言葉は、私にとても重要な真理をつきつけていると思えたのです」
・・・・・

この逸話からはいろいろなことを感じるが、
なにより松下幸之助さんと稲盛和夫さんが出会い、
魂がバチバチと触れ合ったというだけでなにやら感動的なものがある。

稲盛さんを慕われる方は、世界中におられる。
その経営法も世界に広がっている。
本当にすばらしい人生を歩まれた。

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映画評 「ハウ」 [映画評]

私は犬が好きである。
だからといって犬が出ている映画はそれだけでたまらないというわけではないが、
犬好きとしては犬が出ている映画は気になる。
しかも本作の監督は、犬童一心監督である。
「グーグーだって猫である」で知られる犬童監督だが、
このお名前である以上は、やはり。

しかし、しょっぱなから悪い意味で驚かされる。
田中圭さん演じる気弱な役所職員が婚約者に一方的にふられる、
という展開なのだが、ふられ方もその後の対応もそれまでの経緯も、
頭の中を「?」が埋め尽くす。
どうしてこんなわけのわからない出だしにするのか、まったく理解できない。

その後、「ハウ」と名付けた犬と暮らすようになるのだが、
犬との関係も深くは描かれない。
特別なことがなくても犬と暮らすのは素敵だが、
映画としてはもう一押しあってほしい。
その後、ハウと離れ離れになるのだが、
そのきっかけも「?」。

その後、ハウが旅を続けるのだが、そこでようやく話が落ち着く。
積み重ねられるエピソードはステレオタイプのものだが、
それでもじんわりと来る。

しかし、最後のエピソードはとんでもないもの。
盛り上げたかったのかもしれないが、完全にやり過ぎ。
興醒めというか、あっけに取られてしまう。

ラストも、そうしたくなるのをわからなくもないが、今一つ。

ただ、犬の演技は見事だった。
俳優犬のベックというらしい。

田中圭さんはいつもの田中圭さん。
職場の同僚役に池田エライザさん。
こちらもちと妙な役だが、エライザさんは魅力的。

「ハウ」は、映画ファンが観ても、犬好きが観ても首を傾げたくなる作品。
誰に向けて作られたのかしら。

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映画評 「バイオレンスアクション」 [映画評]

去年、「ベイビーわるきゅーれ」(以下「ベビわる」)という映画が評判となった。
主役は、元女子高生で現在ニートの殺し屋コンビ。
ゆるゆるな感じと殺し屋稼業のコントラストが絶妙だった。

「バイオレンスアクション」なる映画が作られると聞いて、
「ベビわる」と被るなあと思った人は少なくないと思う。
ただし、「バイオレンスアクション」の原作は2016年から連載が始まっているので、
「ベビわる」の成功にあやかったわけでもなさそう。

「ベビわる」成功の要因は、
もちろんJKがハードな殺し屋というギャップにもあったが、
それに加えて、
スタントパフォーマーである伊澤彩織さんのアクションが素晴らしいうえに、
脚本と演出もビタっと決まっていたことにある。
決して設定だけではない。

一方、「バイオレンスアクション」は、完全に設定だけで引っ張る映画となってしまっていた。
お笑いで言う「出オチ」という奴であるが、4分の漫才ならなんとかなっても、
2時間の映画では厳しい。
この映画にリアリティを求めるのはとんでもない筋違いであることは承知しているが、
にしても、あれまあ、という展開が多かった。
ちっともハラハラできないので、盛り上がりようもない。

主演は橋本環奈さん。
説得力云々はさておき、頑張っておられたと思う。
馬場ふみかさんは「恋は光」に続いての出演。
私の愛する「殺さない彼と死なない彼女」で主要キャストを演じられた箭内夢菜さんが、ちょっとした役で出演。
もったいない。
「蜜蜂と遠雷」の鈴鹿央士くんがなかなかいい味。

瑠東東一郎さんが監督・脚本。
どうやら私とは相性がよくないらしく、
前作「劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜」もいかがなものかと思った記憶がある。

「バイオレンスアクション」は、多くの人の予想どおり残念な出来栄え。
予想どおりの残念さというのも本当に残念。

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抜け出すチームが読めない 低レベル混戦のパ・リーグ [ヨモヤ]

ここ10年以上の間、
パ・リーグは実力的に完全にセを引き離していた。
ずっとパ・リーグを応援してきた私にとって、
交流戦や日本シリーズを見るのが快感だった。

しかし、去年あたりから風向きが変わってきた。
交流戦は2021年が49勝48敗11分け、2022年が55勝53敗で、
2年連続でセの勝ち越しとなった。
2021年は日本シリーズもセのヤクルトが制した。
交流戦も日本シリーズもほんの紙一重の差であり、両リーグの力が均衡したと言えなくもないが、
あれほどあった力の差をあっという間に詰められ、
さらに抜かされてしまったように見えるのは実に残念である。

残り30試合を切って、ペナントレースもいよいよ佳境を迎える。
現在のパの順位表は以下のとおりであり、上位4チームが大接戦である。
5位のロッテはかなり苦しくなった。

1位 ソフトバンク  -
2位 西武     0.5
3位 オリックス  1.5
4位 楽天     0.5
5位 ロッテ    4.5
6位 日本ハム   9.0

1位から4位までが2.5ゲーム差にひしめくという大混戦。
しかし、どのチームにも抜け出せるような力は感じない。

ソフトバンクは怪我人病人が続出しており、いつまで経ってもベストオーダーが組めない。
西武のチーム打率は.233。しょっちゅう完封されていて、優勝チームの打線とは思えない。
オリックスには山本という切り札がいるが、こちらも得点力不足は深刻。
楽天はシーズンの序盤の勢いはどこへやら。

正直なところ、この4チームのうちどこが日本シリーズに進出しても、
ヤクルトやDeNAに勝てると思えない。
まるで野手が育っていないのは深刻である。
打てる外国人もいない。
現場もさることながら、フロントの責任も重い。
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今泉監督のツイートで思う [ヨモヤ]

今泉力哉さんという映画監督がおられる。
ここのところ、年に数本というペースで作品を発表されており、多作な監督と言っていいと思う。
2019年、岸井ゆきのさん、成田凌さんのコンビで撮られた
「愛がなんだ」
が口コミで評判が広がりロングランヒットを記録、
以来、
恋愛映画の名手、とか、
ダメ恋愛映画の旗手、とか呼ばれている。

その今泉監督が、先日ツイッターでこんなことをつぶやかれていた。
(8月27日午前0時現在では、どういうわけか今泉監督のアカウントが消えてしまっているのだが)
興味深いので引用させていただきたい。
ツイートは2回に分かれていて、2回目は「。」なしで一段の文章となっている。

・・・ ツイート引用 ・・・
1回目
俺の映画が楽しめる人は、恋愛がうまくいってない人、人生がうまくいってない人、だと思う。
うまくいってる人は極端な話、映画なんて必要ないんじゃないかな。
なんて言ったら、暴言かな。
でもなんか、寂しさやうまくいかなさと映画って、とっても相性がいいと思うんだ。
相性が、いいと思うんだ。
2回目
そういう人たちに向けて映画をつくるよ、へんによくわからん社会性とか、お涙とかは俺はいらなくて、なんてことない日々が悪くないと思えるような、あってもなくてもいい、でもあったらいい映画をつくるよ、そういう映画が好きで映画監督を目指したからね、自分みたいな人と自分のために映画をつくるよ
・・・ 引用終わり ・・・

私は今泉監督の映画をそれなりに観ているし、
楽しませていただいている。
つうことは、
人生がうまくいってないのかしらん。
うん、
まあ、はい。

人生がうまくいってる人は、映画なんて必要ないのかしらん。
そうかなあ。
寂しさやうまくいかなさと映画の相性がいいというのはなんとなくわかるけれど。

あってもなくてもいい、でもあったらいい映画をつくる、
という言葉は今泉監督の決意表明のようだ。
なんだか伝わってくるものがある。
そういう映画を作るのは簡単ではないと思うけれど、
そういう映画を私も観たい。

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映画評 「TANG タング」 [映画評]

本作は、イギリスの小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を映画化したもの。
人生に迷う男とポンコツロボットの冒険と友情が描かれる。

この作品には、少し存じ上げている方が参加しておられ、
持ち上げたい気持ちはやまやまなれど、
感想は正直に書かせていただこうと思う。
すみません。(と、あらかじめあやまっておく)

まず、設定からして既視感満載である。
ダメ男と駄目動物といったパターンも含め、似たような作品は山ほどある。
オチまでの展開も一直線に浮かんで来る。
もちろん、ありふれた設定でありふれた展開であってもなおかつ面白いという作品も数多くあるのだが、
本作は予想よりやや下あたりの面白さで展開していく。
せめて予想どおりであってくれれば・・・。

ロボットには秘密が隠されているのだが、
その秘密もどうにも薄味。
かつ陳腐。
悪役っぽい面々が出てくるのだが、
彼らにも引き込まれる要素がまるでない。
悪い意味で漫画チック。
さらに、ラストも薄味。

一応、それなりの見せ場があり、
テレビドラマ的な盛り上がりはある。
しかし、面白いと思えるにはかなりの距離がある。

二宮和也さんが主演。
妻を満島ひかりさんが演じる。
お二人の演技は安心して観ていられる。
が、それ以上ではないとも言える。
「白組」がVFXを担当。
こちらもさすが。
かまいたちのお二人が悪役で出演。
出さなければいけない事情でもあったのかしら。

この夏、3本の映画が公開される三木孝浩さんが監督。
「恋はつづくよどこまでも」の金子ありささんが脚本。
このお二人のコンビであれば、
感動はしないまでも、
もう少し面白い作品になってもいいように思うけれど、今作では不発。

「TANG タング」は、あまりよくない意味で子供向けの作品。
わかりやすいが、それだけな感じ。

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高校野球に補強選手という考え方はいかが [ヨモヤ]

社会人野球の都市対抗野球選手権大会に、「補強選手」という制度がある。
地区代表のチームが、同地区の地方予選で敗退したチームから3名以内を選出し、
チームの一員として大会に出場させることができる、というものである。
企業対抗ではなく「都市対抗」とされている所以もここらにある。

高校野球において、投手が複数いないと勝ち上がるのが難しくなっている。
2022年の夏の甲子園を制した仙台育英に至っては、チーム内に140キロ以上を投げる投手が14人もいるという。
しかし、公立校でこんなことはありえず、
このままでは選手を集められるチームしか勝ち上がれないという傾向にますます拍車がかかりそうである。

そこで、補強選手という考え方はどうだろう。
これを採用すれば戦力の均衡が図れるし、
負けたチームからでも甲子園に行ける可能性が出てくる。
弱いチームでプレーするモチベーションも上がる。

ただし、甲子園に出る前から、つまり予選の段階から複数投手が求められるので、
都市対抗とは少し違って、
下したチームから2名以内、最大3名まで、というのはどうだろう。
1回戦で下したA高校から1名、
2回戦で下したB高校からは0名、
3回戦で下したC高校からは2名といった具合である。
もちろん補強するしないは自由で、当然ながら補強するのは投手とは限らない。
補強選手の入れ替えはなしとする。
という具合である。

この制度を採り入れれば、弱小と見られていたチームがグイグイ強くなる可能性が広がり、
甲子園に出場する学校の顔ぶれも変わってくるのではないだろうか。

とはいえ、
負けたチームに次の日からチームメイトとして入るのはあまりにも抵抗があるのではないか、
自校の選手以外の活躍で勝っても今一つ喜べないのではないか、
そもそも、そんな即席のチームがあり得るのか、
合同チームならともかく、補強選手の考え方は高校野球にはなじまないのではないか、
などなどの反対意見もあるだろう。
ごもっともである。
実現性は高くないかもしれない。

しかし、投手の酷使を回避できる可能性があるほか、
一回戦で強豪と当たって消えてしまった好プレーヤーを救済することもできる。
弱小公立校が、強豪私立に一泡吹かせる可能性も出てくる。

どうかしら。

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日本のアニメがアメリカでヒットするのは今や当然の流れ [ヨモヤ]

映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」が、全米で劇場公開された。
3,000館を超える拡大ロードショーであり、週末興行収入ランキングで見事1位を獲得した。

この作品、日本では正直なところ期待ほどヒットしなかった感があり、
興行成績は約25億円とされている。
アメリカでは、8月19日〜21日までの3日間で興行収入2,010万ドル、約27億6,000万円を記録し、
あっという間に日本での数字を超えてしまった。

日本映画がアメリカで首位を飾るのは、
2021年4月に公開された「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」以来のこと。
1年半ぶりの首位、となるが、
2021年10月に公開された「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」が4位、
2022年3月に公開された「劇場版 呪術廻戦 0」も2位を記録しているから、
日本アニメが上位に来るのはもう見なれた光景である。

現在日本で大ヒットしている「ONE PIECE FILM RED」は、アメリカであまりワンピース人気が高くないのでどうなるかわからないが、
日本アニメがアメリカでヒットする流れは、しばらくは止まらないだろう。
日本のアニメ業界としても、市場が一気に拡大するのだから悪い話であるはずがない。

しかし、だからといって、アメリカうけを狙った作品を作られてしまうと、
日本のファンとしては興ざめとなる可能性がある。
もともとのファンに刺さる作品を作り続けてほしい。

ただ、ヒットしているとは言っても、いわゆるジャンプ系の作品ばかり。
細田守監督作品はそれほど受け入れられていないようだし、
「ペンギンハイウェイ」
「漁港の肉子ちゃん」
「映画大好きポンポさん」
といった佳作がヒットするという流れにもなっていない。
そこは残念である。
そうした作品がきっちり評価されるようになれば、
日本アニメが世界を席巻、と胸を張れるのだが。

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数百円で世界が変わる ~ 夏フェアに乗って本読もう ~ [ヨモヤ]

新潮文庫が夏休みに合わせたキャンペーンとして
「新潮文庫の100冊」
を始めたのは1976年のことらしい。

新潮文庫以外にも、
「幻冬舎文庫 心を運ぶ名作100。」
「カドブン夏フェア」
「集英社文庫ナツイチ」
などがあり、それぞれに魅力的なラインナップを揃えている。
しかし、個人的に気になるのはやはり老舗の新潮文庫。
手当たり次第に文庫本を読んでいた学生時代は、
100冊の完全制覇に挑んだこともあったように思う。
達成した記憶はないけれど。

新潮文庫の100冊のコピーとしては、
糸井重里さんの「想像力と数百円」を思い出す。
1984年のものらしい。
「なんか、本、読も」
という気にさせられたことを思い出す。

今年の100冊のなかで読んだ本を数えてみたら、
概ね3分の2くらいだった。
昔の本はよく読んでいるけれど最近の本はあまり読んでいないから、
まあこんなものだろう。
これが2分の1とかになってしまったら、ちょっと考えよう。

「おススメは?」
と聞かれたら、選び抜かれた100冊から選ぶことは難しいけれど、
最近読んで感銘を受けたという点で、
伊与原 新さんの「月まで三キロ」
を挙げたい。
いつ、誰が読んでも、胸に沁みると思う。
私もきっと再読する。

夏休みも後半戦。
これから読書感想文を書かなければならない子どもたちも多いだろう。
そのために、できる限り薄い本を選ぼうとしている子どもも少なくないだろう。
きっかけはなんでもいい。
SNSもいいし、ゲームもいいし、アニメもいいけれど、
何百年も続いている本という文化もいいものだということを知ってもらうには、
まず手に取ってもらわないと。

さあ、本屋さんに行って、
夏の文庫本フェアから一冊選んでみよう。
数百円で、世界が変わるかもよ。

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映画評 「サバカン SABAKAN」 ~ 今年の夏はコレ ~ [映画評]

夏に観て、是非その夏の間に観てほしいと思った映画は、ここ最近では、
2018年「ペンギンハイウェイ」
2020年「君が世界のはじまり」
といった作品が思い浮かぶ。
やっぱり夏の主役は子どもか若者である。
そして今年はこの映画。

「サバカン」の主人公は小学生の男子二人。
彼らのひと夏の交流が、長崎の美しい風景をバックに描かれる。
ときは1986年。
ちとデフォルメし過ぎな感はあるが、いろいろな面で今とは違う。

親には内緒で、子どもたちがあるものを見つける冒険に出る、
という設定は、映画ファンにはお馴染みのものかもしれない。
しかし、二人の子役の素朴な演技に素直に引き込まれる。
絡んでくる大人たちのベタベタしない感じも心地よい。

「またね」
という言葉が胸に沁みる。
「またね」
と言えること、
言える相手がいることの喜びが胸に来る。

この映画好きだなあ、と思いながら観ていたら、終盤に想像を超える波乱がある。
個人的にはこの波乱はない方がいいと思ったが、
この映画は監督さんが脚本も担当されているオリジナル作品。
ラストに持って行くためには、こうするのがベストと考えられたのだろう。

主役の子が号泣するシーンがある。
映画で主人公が泣くシーンはいくらでもあるが、共感できないことも少なくない。
この映画での涙は、真っすぐ伝わって来た。
そうだ、ここは泣くところだ、と思った。
思い切り泣くところだ。

草なぎ剛さんが、主役の子の成人した姿として出演。
こちらのパートは薄め。
尾野真千子さんと竹原ピストルさんが夫婦役で出演。
二人の掛け合いは楽しく、いつまでも観ていられる感じだった。
貫地谷しほりさんが子だくさん家庭のお母さんを演じる。
こちらも魅力的だった。

監督の金沢知樹さんは、脚本家、演出家、構成作家として活躍されている方で、
本作が長編映画の初監督。
すばらしい船出となった。

公開館数が少ないこともあるのかもしれないが、
地味な題材で大して宣伝もされていないのに私の観た劇場はまずまずの入り。
早くも口コミで映画のよさが広がっているのなら嬉しい。

「サバカン SABAKAN」は、今年の夏に観るべき映画。
大人に沁みる映画だが、きっと子どもが観ても楽しめる。
夏休みもあと10日。
是非劇場に。

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