SSブログ

映画評 「長崎の郵便配達」 [映画評]

今日は、長崎にとって77回目の原爆の日である。
世界中の誰もが平和を望んでいるのだと信じたいが、核兵器廃絶への道のりはあまりにも遠い。

夏には、戦争や原爆に関する映画が多く公開される。
本作もそのなかの一つであり、「ナガサキの郵便配達」というノンフィクションをもとにしたドキュメンタリー映画。
もととなったノンフィクションは、元イギリス空軍所属のピーター・タウンゼントさんが書いたもの。
彼は軍隊をやめた後、ジャーナリストとなって長崎を訪れ、
16歳のときに郵便配達中に被爆し、核廃絶運動を続けている谷口稜曄さんと出会う。
この映画は、彼の娘である女優のイザベル・タウンゼントさんが長崎を訪問したときの様子を中心にとらえている。

イザベルさんは、父親のボイスメモに耳を傾けながら長崎を歩く。
父の足跡をたどり、父と触れ合った人たちから父の話を聞く。
そして、谷口さんが負った原爆の傷跡に思いを馳せ、
長崎の人たちの気持ちに寄り添う。

無理な脚色はなく、淡々と映画は進む。
イザベルさんのフランスでの活動も紹介され、
長崎でも思い出が活かされていることを知る。

劇場に足を運んでいたのは、ご高齢の方ばかりであった。
こうしたテーマの作品では大抵そうなる。
できれば、若い人にこそ観てもらい、何かを感じてもらいたい映画である。
世界がつながれると信じられる瞬間がある。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事