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映画評 「ぜんぶ、ボクのせい」 [映画評]

ラストシーンは決まっていて、そこに持って行くために作られたような作品。
先月観た「こちらあみ子」もラストにつなげるための映画のように感じたが、
あみ子が一気に浄化されたのに対し、
本作は切ないエンディング。
切なくてもいいのだが、
ピタッとはまった感はない。

さっとしたストーリーは、こんな感じ。

児童養護施設で母の迎えを待ちながら生活していた少年が主人公。
母の居場所を知り施設を抜け出すが、訪ね当てた母は男と自堕落に暮らしていた。
母に追い出され当てもなくさまよっていたとき、軽トラックで暮らすホームレスと出会い、
二人は寝食を共にするようになる。
その後、裕福な家庭に育ちながら自らを「からっぽ」と蔑む少女とも出会い、心を通わせていく。
しかしある時、三人の関係を大きく揺るがす事件が起きる。

全編を通して、
今一つ、少年の行動に切実さというか、リアリティを感じない。
脚本にそう書いてあるからそうしている感じ。
それはそもそもの脚本が弱いのか、演技のためなのか、演出のためなのか。
ここが刺さらないので、映画に入り込めない。
居場所が見つからない少女も、とってつけたような存在。。

ホームレス役をオダギリジョーさんが演じる。
どうしようもない男の役だが、ピタッとはまっている。
こちらもどうしようもない母とその愛人に松本まりかさんと若葉竜也さん。
二人もさすがの演技。

「ぜんぶ、ボクのせい」は、惜しい作品。
あと一息何かが起きれば、すべてがよくなったのではないかと思う。
それが何なのかよくわからないし、
それがなかなか起きないのが映画の難しさではある。

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