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映画評 「ハウ」 [映画評]

私は犬が好きである。
だからといって犬が出ている映画はそれだけでたまらないというわけではないが、
犬好きとしては犬が出ている映画は気になる。
しかも本作の監督は、犬童一心監督である。
「グーグーだって猫である」で知られる犬童監督だが、
このお名前である以上は、やはり。

しかし、しょっぱなから悪い意味で驚かされる。
田中圭さん演じる気弱な役所職員が婚約者に一方的にふられる、
という展開なのだが、ふられ方もその後の対応もそれまでの経緯も、
頭の中を「?」が埋め尽くす。
どうしてこんなわけのわからない出だしにするのか、まったく理解できない。

その後、「ハウ」と名付けた犬と暮らすようになるのだが、
犬との関係も深くは描かれない。
特別なことがなくても犬と暮らすのは素敵だが、
映画としてはもう一押しあってほしい。
その後、ハウと離れ離れになるのだが、
そのきっかけも「?」。

その後、ハウが旅を続けるのだが、そこでようやく話が落ち着く。
積み重ねられるエピソードはステレオタイプのものだが、
それでもじんわりと来る。

しかし、最後のエピソードはとんでもないもの。
盛り上げたかったのかもしれないが、完全にやり過ぎ。
興醒めというか、あっけに取られてしまう。

ラストも、そうしたくなるのをわからなくもないが、今一つ。

ただ、犬の演技は見事だった。
俳優犬のベックというらしい。

田中圭さんはいつもの田中圭さん。
職場の同僚役に池田エライザさん。
こちらもちと妙な役だが、エライザさんは魅力的。

「ハウ」は、映画ファンが観ても、犬好きが観ても首を傾げたくなる作品。
誰に向けて作られたのかしら。

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