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映画評 「グッバイ・クルエル・ワールド」 [映画評]

ここのところ
「セトウツミ」「日日是好日」「MOTHER マザー」「星の子」
と秀作を次々に世に送り出している大森立嗣監督の作品。
大森監督が銃撃戦やクライムサスペンスを描いたらどんな映画になるのだろう、
と期待を高めての鑑賞。

序盤はなかなかの滑り出し。
うんうん、いいぞいいぞ、
と思っていたが、後半になるに従っておやおやな展開になり、
終盤はもう何なんだろう。
滅茶苦茶な展開なのは滅茶苦茶な映画だからまあいいとして、
伝わってくるものもない。

このところ、というか、もうずっとそうだが、
日本映画ではクールに殺すのがかっこいいとされているようだ。
表情一つ変えず、バンとやるのがいいんですかね。
殺し屋さんでもない人が、平気な顔してバンバン撃ちまくって殺しまくって、
それがクールなんですかね。

映画なので、モラル的にどうこうとか、道徳的にどうこうとか、
そんなことを言うつもりはない。
ただ、そういうのばかりを見せられて、
なんかかっこ悪いな、と思うだけである。

最後、「甘いんだよ、お前は」というシーンがあるのだが、
いや、甘いのはこの映画の方では・・・。

主演は西島秀俊さん。
うわあ、もったいない。
斎藤工さんは最低の人間役で印象を残している。
三浦友和さんが老練な役回りなのだが、ちょっと作り過ぎか。
玉城ティナさんと宮沢氷魚さんの二人が映画を引っ張る。
玉城さんは、なんといっても「惡の華」が強烈だった。
宮沢さんは、このところグイグイ来ている。
もっとこの二人に活躍させた方がよかった気がする。
監督の弟である大森南朋さんが重要な役で出演。
兄弟で映画を作るって、どんな気分だろう。

「グッバイ・クルエル・ワールド」は、とっ散らかった作品。
撮りたかったことはなんとなくわかるが、うまくはいかなかった。
大森監督であっても、そういうことはある。

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