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映画評 「夜明けのすべて」 [映画評]

瀬尾まいこのさんの同名小説の映画化。
瀬尾さんの作品はどれも面白いが、
映画になったときに面白いかどうかはわからない。
「そして、バトンは渡された」とか、とても残念なことになっていた。

監督は、「きみの鳥はうたえる」「ケイコ 目を澄ませて」で続けて評判をとった三宅唱さん。
主演は、松村北斗さんと上白石萌音さん。
松村さんはパニック障害、上白石さんはPMS(月経前症候群)と、それぞれに病気を抱えている役を演じる。
最初はすれ違う二人が、
互いの状況を理解する中で支え合っていけるようになる。

他の登場人物もいろいろと抱えているのだが、掘り下げはない。
すべて、ごくごくあっさりと描いていく。
お涙ちょうだいになるのは嬉しくないが、
もう少し伝えてくれないと感情移入はできない。
感情移入させないためにわざとやったのかもしれないが、
正直物足りない。

光石研さん、渋川清彦さんといった手練れが脇を固めているのだが、
こちらの描き方もごく薄味。
意地でも薄味、という感じ。

最後まで薄味で、
これはこれで味なのだが、
やっぱり物足りない。
無理に感動させようとしなくていいが、
無理に感動させないようにしなくてもいい。
タイトルもあまり生きてこない。

ちゃんとした映画だとは思うのだが、
もう少し楽しませてもらいたかったのが本音。

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