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海外に目を向ける日本人投資家 日本に目を向ける海外投資家 [経済を眺める楽しみ]

少し前になるが、日本経済新聞に、
「日本の個人投資家の海外志向が強まっている」
という記事が掲載されていた。
なんでも、世界株で運用する投資信託に1~8月で1兆6000億円が流入したのだという。
さらに、ネット証券の米国株取引は前年の約4倍に膨らんでいるそうだ。

これは、至極当然の流れだろう。
そうなるだろうなあ、と思える理由がいくつもあるからだ。

1点目としては、残念ながら日本経済の将来性に自信が持てないということがある。
投資は先の世界を見るのが鉄則だが、そうなると、人口が急激に減っていく日本には希望を持ちにくい。
もちろん、個別銘柄では上昇するものも少なくないだろうが、全体的には海外に目が向く。

2点目は、証券会社の手数料が下がったことである。
以前は外国株を取り扱っている証券会社がそれほど多くなく、さらに手数料も高かった。
買って売ってのダブルで手数料を取られることもあり、ちょっと上がったくらいでは元が取れないような感もあった。
今はかなりハードルが下がっている。

3点目は、情報を手に入れやすくなったことである。
海外に投資をしたいが、よくわからないから二の足を踏む、という傾向があったと思う。
この頃は、比較的容易に投資にかかる情報を手に入れることができるようになっている。
GAFAをはじめとして、なじみの深い企業も多い。

4点目は、コロナ禍によって逆に伸びが期待できる企業が海外には多いことである。
コロナによって生活様式や働き方が変わるなかで、日本のデジタル化の遅れがわかりやすく示されたが、
海外ではデジタル時代を先取った企業がいくつもある。
そこに投資したいと思うのは自然である。

海外に投資すること自体は、悪いことでもなんでもない。
リスクとリターンの関係を見定め、冷静に判断するのが投資家の力であり、
自国にこだわることはない。

しかし、日本の個人投資家が海外に視線を移している一方で、
海外投資家が日本への投資に関心を高めているというのが興味深い。
ウォーレン・バフェット氏が商社株を買ったというニュースが報じられたが、それだけではなく、
8月には海外投資家が日本株を大幅に買い越したらしい。

海外を注目する日本人投資家、
日本を注目する海外投資家。
なんとも皮肉な状況であるが、どちらも正しいという可能性もある。

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