SSブログ

中央銀行主導のデジタル通貨が実現に向かっている [経済を眺める楽しみ]

中央銀行が発行するデジタル通貨をCentral Bank Digital Currencyの頭文字をとって、CBDCと呼ぶらしい。
マネーの覇権争いのなかで、CBDCの持つ位置づけが高まっている。

報道によれば、中国広東省深セン市が、「デジタル人民元」を市民に配布するとのことである。
中国人民銀行と連携した試験運用の一環として行うもので、配布総額は計1千万元。
日本円にすると、約1億5,700万円になるという。
抽選で1人当たり200元を配るというから、
一人当たりの金額も総額も大したことはないが、
これがどのように使われ、どのように流通していくかを見てみたいということなのだろう。

時期を同じくして、CBDCに関するレポートが出された。
レポートを出したのは、
米国、欧州連合、英国、日本、スイス、カナダ、スウェーデンの中央銀行と国際決済銀行。
CBDC発行の動機、政策への影響、その機能や設計について概説したものになっているという。

このレポートによれば、CBDCは以下のようなものになるべきとのことである。
・アクセスしやすく、低コスト。
・基盤システムは24時間年中無休。
・プライバシーを守る安全なシステム。
・システム運営には民間部門が関与。
・設計の上では、発行される国の利用者や決済システムなどの事情を考慮しなければならない。

CBDCについては、今回の実証実験を含めて中国が先導しているようだ。
いわゆる先進国としても、その状態を放置しておくわけにはいかないというのが、今回のレポートの趣旨だろう。
中央銀行がデジタル通貨を発行するようになれば、マネーの風景が変わる。
技術的には可能になってきているはずだから、あとはいろいろな課題をつぶしていく段階であろう。
紙は紙でいいような気もするが、この流れは止まりそうにない。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事