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映画評 「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」 [映画評]

とんでもないヒットになっている「鬼滅の刃」。
もちろん飛び込んでいくしかない。
テレビでまとめ再放送をやっていたので、それをそこそこ観ておいた。
そうしておいてよかった。
この映画を楽しむためには、ある程度以上の予備知識は必要だと思う。
初見さんに親切な作りではない。

映画の中で、クライマックスが大きく2回ある。
私は2回目のクライマックスがあると知らなかったので、唐突な流れにちょっと驚いた。
はじめは蛇足かと思ったが、熱い戦いが繰り広げられ、
むしろこちらがメインだと知った。
主人公の炭治郎くんが鬼に向かって言葉を投げつけるシーンがあるのだが、
個人的にはここが一番よかった。
思い出してもグッとくる。

煉獄さんの言葉も刺さった。
興行収入が100億円を突破したことについて、
「煉獄さんが100億円の男になった」
と喜ぶ気持ちも共感できる。

十分楽しめたし、
胸熱くもなった。
繰り返し観る人が出るだろうこともわかる。
いい2時間だと思う。

しかし、映画ファンとしては、この作品が記録破りの大ヒットになることに、手放しで喜べない面もなくはない。
本作は、「鬼滅の刃」アニメプロジェクトの一環的な作品。
テレビシリーズの続きを映画にしたもので、
おそらく映画の続きがまたテレビシリーズになり、
その続きが映画になる流れなのだろう。
そのこと自体、別に悪いことでもなんでもないし、そういうやり方もありだと思うが、
映画オリジナルの作品ではない。
それがいいとか悪いとかではなく。

本作を「千と千尋の神隠し」や「サマーウォーズ」
といった映画と比べるとどうだろう。
いや、比べるものでは全くない。
そもそも土俵が違う。
そう考えると、「千と千尋」や「君の名は。」のように、「映画」として作られ、
作品の評価と興行が噛み合ったというのは奇跡のような出来事だったのだとわかる。

毎年大ヒットするが、「コナン」は映画としてはハラホロヒレハレであるし、
しんちゃんも、かつての輝きはない。
そうした作品と比べると、鬼滅は相当遠いところまで行ったと思う。
しかし、2時間の中でゼロから物語を立ち上げ、そのなかできっちり落とし前をつけるのが映画だとすれば、ううむ、と思うところもある。
十分に楽しんだのだが。

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