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映画評 「望み」 映画の舞台は埼玉県戸沢市 [映画評]

本作の監督である堤幸彦さんは、多作で知られる。
テレビに映画にと、休むことを知らないように見える。
私は、堤作品では「BECK」が大のお気に入りである。
脚本の奥寺佐渡子さんは、私の好きな映画の本をたくさん書かれている。
例えば「学校の怪談」「八日目の蝉」「時をかける少女」「サマーウォーズ」といった具合。
この二人が組んだら、どんな映画ができるのかと楽しみにしていた。

タイトルの「望み」は、家族それぞれが持った思いのことを指すのだろう。
息子に加害者であってほしいわけがない、
むしろ被害者であってほしい、
いや、やはり加害者でも生きて帰ってほしい、
などなど、家族の思いが交錯する。

父親を演じるのが堤真一さん。
しっかり演じられていたと思うが、本作は脚本がどうだったか。
私の大好きな作品を次々に送り出されている奥寺さんだけに、言うのもおこがましが。
母親を演じられるのが石田ゆり子さん。
こちらも、今一つ感情移入できず。

ドラマとしても、サスペンスとしてもツッコミどころが多いのだが、
特に息子が買ってきた刃物のくだりは全体が陳腐。
全部やり直してほしい感じである。
父の言葉についてのエピソードも、ちょっと痛い。
真相が明らかになるシーンも、なんだかなあ、という感じ。

堤作品には当たりはずれが大きいと言われることが多いが、
今回の堤さんははまらなかった感じの堤さんだと思う。
奥寺さんの脚本と組んだときの相乗効果を楽しみにしたが、
1+1が2にもならなかった感じであろうか。

ちなみに映画の舞台は埼玉県戸沢市という架空の町。
初詣に狭山不動尊が映ったりする。

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