SSブログ

映画評 「きみの瞳が問いかけている」 [映画評]

青春恋愛映画の名手とされる三木孝浩さんが監督。
三木監督作品では「陽だまりの彼女」「くちびるに歌を」といった作品が心に残っているが、
最近は今一つ。
今作も、あまりの突っ込みどころの多さは、こちらがどうかしてしまったのかと思うほど。

導入から45分くらいは「うまいなあ」とうなる展開。
無茶苦茶かつ強引な設定を、「え?」と思う間もなく見せていく。
さすがにプロだ、としみじみ。
吉高由里子さんと横浜流星さんの熱演も無理やりな展開をカバーし、映画に入り込ませる。

目の不自由な女性と過去に傷がある男性がどうやって出会ったのか。
その二人の仲がどのように進展したのか。
メルヘンではあるが、てきぱき見せてくれて心地いい。

しかし、後半はなんじゃこりゃ。
設定の素っ頓狂さ、展開のスーパー強引さなど、私の理解を軽々とオーバー。
突っ込む気も喪失させるほどのぶっ飛ばし方。
パプー。
序盤の手際のよさにほだされ、いい映画なのではないか、などと期待した私がどうかしてました。
ぶっ飛ばし方はラストシーンまで絶好調。
え?突っ込み箇所捜索選手権みたいな?

主演の吉高さんはしっかり輝いていた。
目が不自由という難しい役を、けなげに、可憐に演じていた。
共演の横浜さんも役柄にぴったり。
鍛え上げた肉体は、格闘シーンにばっちりはまっていた。
だから、この映画がほにゃにゃにゃにゃーなのは、俳優さんの責ではない。

私が観た回の劇場は、ほぼ満員。
どうやらかなりヒットしているようだ。
ネットのレビューでもかなりの高評価。
ふむ。
不思議である。

「きみの瞳が問いかけている」は、しっちゃかめっちゃかな作品。
どうにもならない。
ただ、主演の二人は素敵で、それを目当てにするのなら文句なしとも言える。
監督の意図もそこにあるのだろうか。
ないと思うけど。

nice!(2)  コメント(0)