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難しい消防団問題 ~ 幽霊消防団員の訴えるもの ~ [ヨモヤ]

毎日新聞が、スクープのような形で
<岡山市>「幽霊消防団員」348人に1,460万円
と報じている。
「幽霊消防団員」と聞くとなんのことか一瞬わからないが、要は全く活動していない名前だけの消防団員のことで、この348人は、全員参加が原則の訓練大会やその練習にも参加していないのだという。
これは全体の約8%に当たる人数らしい。

何も活動していないのに報酬をもらうとはとんでもない、と思うかもしれないが、割り返してわかるように一人当たりの報酬額は非常に小さい。
これは2年分の金額だから、一人当たりに直すと年額21,000円。
月にすると1,750円。

しかも、実際にこの金額を一人一人の団員が受け取っているわけではなく、各分団が一括管理しており、個人が使えるお金になるわけでもないらしい。

毎日新聞の記事によれば、岡山市のある分団の場合、月1回飲み会があり、そこにはほぼ強制参加させられるのだという。
その代わり、参加費は無料。
経費は消防団員への報酬や手当で賄われている、という。

報酬を飲み会費用に使っていることを、
「とんでもないこと」
ととらえるか、
「災害の際に、息を合わせて連携するためには普段のコミュニケーションが大切」
ととらえるかは、人それぞれだと思う。

また、「幽霊消防団員に報酬」と言われても、消防団の方々の認識は、記事中にもあったが、
「基本的に、後任を見つけないと分団は辞められない前提だから、幽霊はいないはず」
というものであろうし、
「活動していないから幽霊と言われるが、本当に必要な機会があれば、消防団はきっちり駆けつける」
という思いも持っておられるかもしれない。

消防団員の方々は、東日本大震災のときにも大きな働きをされ、その役割が重要であることは確かだと思う。
しかし、
人口減少、
地域社会の高齢化、
コミュニティの希薄化、
自営業者の減少、
などの理由により、これまでどおりの活動に無理が生じていることも事実であろう。
なり手がいないことが、今回の幽霊消防団員問題の背景にあると思う。

今回の報道がきっかけになることはないかもしれないが、消防団のあり方については、いずれ大きな見直しが避けられないと思う。
維持や誇りも大切だが、現実に即した対応も必要である。

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