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映画評 「よこがお」 [映画評]

映画「よこがお」は、「淵に立つ」で注目を集めた気鋭の映画監督、深田晃司さんの最新作。
私は、「淵に立つ」は観ていないので、どんな作品なのか興味津々だった。

映画の公式サイトには、
「人生を奪われた女の哀しく危険な復讐」
「狂っているのは、この世か、彼女か」
といった宣伝文句が躍っている。
サスペンスタッチの作品かと思ったのだが、そうではなかった。
もっと、ドロドロした感じのもの。

映画は、ちょっとややこしい構成で進む。
2つの物語が同時に進んでいくのだが、最初はどういう時系列なのか混乱する。
手の込んだ構成のわりに、復讐の方法は陳腐。
まあ、人ってそういうものではあるけれど。

唐突に事件が起こるのだが、
動機も背景も経緯もわからない。
そこが本質ではないのだが、そこがわからないままというのもモヤモヤする。

監督が撮りたいものを撮られている感じの映画であり、
そこには好感が持てる。
そして、監督の思いを倍返ししているかのような筒井真理子さんの演技がすさまじい。
彼女を観るだけで十分もとが獲れる映画であることは間違いない。
しかし、エンタメ的な作品を求めていくと、「はら?」ということになる。
もう少し、観る側に寄り添ってくれるとありがたい。
そういう監督さんではないのかもしれないが、観る人がいての映画である。

「よこがお」は、なんとも表現が難しい映画。
文芸作品ではないし、
娯楽作ではもっとない。
突っ込みどころが満載だが、
突っ込む喜びを与えてくれる映画でもない。
筒井真理子さんを愛でる映画と考えると、これ以上はないのかもしれないが、
そういうものでもないだろうし。
なんとも。

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