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中国による米国債売りはあり得るか [経済を眺める楽しみ]

かつて、当時の橋本総理大臣が、
「米国債を売ろうという誘惑に駆られたことがある」
と語ったことがあった。
この発言をきっかけにアメリカ株は急落し、
橋本総理もアメリカの謀略によって政権を追われた、
という言い伝えがある。
発言後、株価が下がったことは確かだが、原因はこれだけではないだろうし、
政権を覆すほどのことではないように思う。
しかし、言い伝えは残っている。
そのくらい、米国債はセンシティブなテーマである。

米財務省の発表によれば、
6月末時点の米国債保有は、日本が中国を逆転し首位となったとのことである。
日本が首位となったのは2017年5月以来となる。
中国がそれほど買い増していない一方、日本は積極的な買いを行った結果、
僅差ではあるが首位交代となった。

アメリカの国債を持つ、ということには、どういう意味があるだろう。
アメリカの赤字をファイナンスするため、とか、アメリカを助けるため、といった意図は基本的にないだろう。
中国が貿易戦争の一環として米国債を売りにかかるとの予測もあると言うが、
本当だろうか。

金利が消失してしまったかのような世界金融市場において、
超大国であるアメリカの発行する基軸通貨であるドル建ての国債には、
安全資産であり、
かつ運用妙味がある、
という強みがある。
売ろうとすれば、
需給の関係で国債価格は下がるだろう。
そうなれば、保有国は含み残を抱えることになる。
だから、現在持っている国が、あえて売りを仕掛けることは通常はない。
買い手がいない国の国債であれば、売り浴びせられることは脅威になるが、
米国債であればそれもない。

どんなに借金を重ねてもアメリカが破産することはない。
破産することのない国の国債は強い。
当然のことである。

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